【総索引:どんぐり倶楽部】※中学受験をするかも知れない人は必ず「絶対学力」「新・絶対学力」は読んで下さいね。
<「絶対学力」p.18-20より>
今、私は中学受験を扱っていませんが、去年、特別に一人だけ指導した子がいます。
国立の教育大学付属小の6年生で、付属中を目指している女の子でした。
反射式プリントを使っている組織から出ている進度一覧表(理解度ではなく進度)に、
この子が載っています。3学年先の学習をしていました。もちろん、とっくに反射式
プリントの教室はやめてもらっていますが、当時彼女は全国(英語)で47,118名中373位(0.79%)
・福岡で1,665名中13位(0.78%)
に位置する子(算数・国語も同レベル)でした。
プリントを見てみると、中3〜高1程度の内容を学習していました。反射式プリントの先生からは、
できるからと言われて公立高校入試問題集まで渡されていましたが、さっぱり分かっていませんでした(本人談)。
また、文法も殆ど教わっておらず、読解も単語を頼りに国語力で辻褄合わせをしているだけでした。
プリントを見てみると、至る所に日本語でのヒントがあるので英語を知らなくても答えが出るように
仕組んでありました。数学は機械的に処理するだけで応用が利かない状態になっており、文章問題は
どこから手をつけたらいいのかさえ分からない状態で、絵を書く(文章を図式化する)という発想さえ
ありませんでした。つまり、トップレベルにある子でも学習内容はチンプンカンプンで全く分かって
いないということです。では、残り99.2%の子どもたちはどうなっているのでしょうか。考えただけ
でもゾッとします。
また、理解度を表にするのではなくて進度のみを表にすることで「分かる」ではなく
「できる(何枚プリントをしたか)」しか見えないようにしてあることにも嫌悪感を覚えました。
これでは中学受験どころではありません。
学校の7月の実力テストで算数は12点(20点満点なので100点満点に換算すると60点)でした。
単純計算だけの得点です。順位は中〜中の下で、もちろん付属中には入れません。
8月からは反射式プリントを完全に止めてもらい「分からん帳」だけで受験対応学習を始めました。
学校の実力テスト用の設定ではありませんので、当然のことなのですが11月でも算数10点(50点)でした。
ところが、入試結果(1月)は次の通りでした。
※国語18(90点)※算数17(85点)※理科19(95点)※社会19(95点)←(100点換算)
 もちろん、トップクラスでの合格です。英語も反射式プリントを止めてゼロから学習し直しましたので、
今ではトップクラスの理解力を示しています。彼女はもともと理解力はあったのに理解力を必要としない
(考える必要のない)反射式プリントをしていたので発達を阻害されていたのです。
 生物であれば、どんな刺激にも多かれ少なかれ反応はします。そして、刺激に反応して成長もします。
ですが、大切なのは、その成長しているものが良性のものなのか悪性のものなのかということです。
癌細胞(考えさせない力)に栄養を与えていては健全な成長は望めません。お酒(計算問題)は適量であれば、
薬(学力の素)の一つになりますが、過度に与えると毒となり体を蝕み、中毒にしてしまいます。アルコール
漬け(計算漬け)にされた体(頭)が回復するのは容易なことではありません。
 私は今までに、反射式プリントだけをしていて応用力のある子に出会ったことは一度もありません。
逆に、基礎力はあるのに驚くほど応用力がなく融通が利かない子どもには数多く会いました。このことに、
私は危機感を持っています。機械的な反復思考(反射になると思考とさえも呼べない)は確実に子ども達の
能力や才能を潰しているからです。