「絶対学力」より抜粋〜一行作文〜
▼資料13・宿題作文
「何を書いたらいいのか分からない」「書くことがない」というのが、作文が苦手な子どもの 口癖です。ならば、書くことを探す工夫をさせればいいんです。
■準備
1.まず、メモ帳に2時間おきに時間帯を書かせます。
2.次に、そのメモ帳を持って歩かせ、驚いたこと、不思議に思ったこと、嬉しかったこと、頭 に来たこと、悲しかったこと等を時間帯に沿って書かせます。
3.後は簡単。そのメモを見ながら「どうしてココでこう思ったのかな」ということを書けばで きます。起きて直ぐから、寝るまでの時間を全て使ってやってみる。慣れてくると1日で10こくらいの題材は見つかります。※自分の感情に気づく手段にもなります。

■メモ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・慣れたら名詞で終わらせる「タイトル風」
07:00森君と学校へ(犬にかまれた!)・・・・・・・・・・・・・・・・・「僕を噛んだ犬」
09:00算数わからんかった。(先生へたくそや)・・・・・・・・・・「分からんかった算数」
11:00今日のごはんベトベト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「ベトベトごはん」
01:00かけっこ1番やった!・・・・・・・・・・・・・・・・・・「1番だったかけっこ」
03:00帰りに10円拾った!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「拾った10円」
05:00おやつがない〜!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「なくなったおやつ」
07:00風呂そうじをさせられた。(妹泣かせたから)・・・・・・・・・・・・「風呂そうじ」
09:00ねたふりして、12時までおきとったもんね。・・・・・・・・・・・・「ねたふり」

■作文「犬にかまれた!」※07:00のメモより
 今日、登校中に犬にかまれた。毎日吠えられて怖い思いをしていた。今日は静かだなと思って、一緒に登校していた森君に「今日はいないね」と言った時に、なんと、僕の後ろにいたその犬が突然僕の脚をかんだ。「うお〜!」と言って走って学校に行った。森君は笑っていた。今度かまれそうになったら、先にかんでやろうと思っている。

■作文「おやつがない!」※05:00のメモより
 今日、学校から帰っておやつを食べようとしたら、ない。どこにもおやつがない。
僕はグ〜グ〜なるお腹を押さえて家中を探したけど、結局見つからなかった。犯人は妹だった。妹は鳩が好きで近くの公園に来る鳩に僕のおやつだったパンをみんなあげたそうだ。一羽にあげたら何十羽も来て、仕方なくみんなあげたと言っていた。僕が思うには、妹も鳩の格好をしておやつを食べたに違いない。

※指導する場合はメモの1行をいかに前後に膨らませていくかを考えさせます。つなぎ言葉は、 最終的に語感を考えながらすることなので、メモの1行が出てきた原因・理由・時間・状況 ・感じたことなどを羅列させるだけでもいいでしょう。
【補足】「びっくり作文」も楽しく作文を学べる方法です。1日に一つビックリしたことを書いておくのです。例えば「犬の糞」「空飛ぶカエル」「メチャデカゴキブリ」「カベチョロの逆襲」等々、経験した本人でないと分からない1行メモを出してもらって。題材を決めていきます。「びっくりした」ことですから感情の動きを追った作文を考えさせることが出来ます。その他にも「ガッカリ作文」「ハラハラ作文」「ドキドキ作文」など考えると楽しく深い学習が出来ます。
■低学年の作文指導の実際・小1〜小3
※1日1行ずつ書いていき、1ケ月で仕上げる。(家庭でも可能)
1日目:先月、一番楽しかったことは何?→海→「海が楽しかったです」
2日目:海で何をしたのが楽しかったの?→泳いだこと→「泳いで楽しかったです」
3日目:誰と行ったのかな?→お父さんとお母さんと妹→「お父さんとお母さんと妹」
4日目:誰と何をしたの?→お母さんとは、お弁当食べた・お父さんとは泳いだ・妹とは砂遊
    びした→「お母さんとは、お弁当食べたのがたのしかったです。お父さんとは泳いだ
    のが楽しかったです。妹とは砂遊びしたのが楽しかったです。」
5日目:何で行ったの?→車→「車で行きました」
6日目:何という海岸?→三津浦海岸→「三津浦海岸というところへ行きました」
7日目:どんなところ?→山の向こうにあった→「山を越えて行きました」
※こうして、自分の体験や思いを少しずつ文字にしていく。     ■イメージの文字化■
※一行ずつカードに書く。                     ■目で考える準備■
※カードを入れ替えることで順番を決める(構成)。          ■目で考える練習■
※相手に分かりやすくするには順番(構成)が大切であることを実感させる。■柔軟性の養成■
※つなぎ言葉はアドバイスする。みんなで検討しながら決める。  ■協力・推敲・構成力■
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「子育てと教育の大原則」より抜粋〜5秒作文〜
5秒作文授業の例
先生……5秒間休み時間にしたことを頭の中で思い出して、その中で一番ハッキリ覚えている場面だけをイメージしてごらん。色々あって選ぶのに苦労しているようだねぇ。でも一つだけに決めるんだよ。そして、その場面をストップさせる。はい、ストップ!もう変えちゃダメだよ。その場面を動かさないでね。どんな場面かな?
生徒……子供はそのメージを言葉で再現する
先生……はい、じゃあ、今説明してくれたことをそのまま書いてごらん。
 そのまま文字にすれば、長い長い作文になります。
そして、アレンジはいつでもできるのです。課題を「登校途中の悲しかったこと」にでもしてみると、実に豊かで個性溢れる作文が何百本も出来ます。
「青空が悲しかった」「「信号機が悲しかった」「茶色い小石が悲しかった」……という具合です。

人生を左右する「絶対基礎学力」を知っておきましょう
 義務教育ですべき思考力の養成を絶対基礎学力と呼びます。
残念ですが、2005年現在の教育方法では絶対基礎学力の養成は出来ません。体制が不備なのではなく、人材がいないわけでもありません。内容が貧弱なのでもありません。
 それは、効果的な学習理論を知らないためです。
 ですから、学習理論理解さえ学んで貰えばこの瞬間から時間もお金もかけずに、小学校で絶対基礎学力という考える力を育てることが出来ます。
 義務教育とはヒトを人間にするための思考力を育てることです。人生を楽しむために必要な思考力を育て上げることが義務教育の目的です。それ以外にはありません。
 人間は、思考できるようになったから人生を楽しめるようになったのです。
 人生を楽しめるから人間なんです。
 本当の学力とはそういうものです。