●さて、ここでは年長さんむけの問題で「分かる・考える」の仕組みと、思考力養成には何が必要で効果的なのかを体験してもらいます。
1.まず、下記の問題を1回だけ読んで頭の中だけで答えを出して下さい。読み返してはいけません。
※大量の計算練習や国語の暗唱が学力養成になると思っている方は最下段の
【音読と計算は学力養成の基礎ではないことの検証】をお子さんにさせて下さい。
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<0MX03>
ここは くらげのうみです。まいにち たくさんの くらげが あつまってきます。
きょうは きのうよりも 5ひきおおいようです。 きのうの くらげは 6ぴき
でした。 あしたもまた きょうと おなじかずだけ ふえるとすれば
あしたは くらげは なんびきになるでしょうか。
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*どうですか?<できない理由>
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2.次に、紙と鉛筆を使って問題を1回だけ読んで、式だけで答えを出して下さい。読み返してはいけません。
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3.次に、絵図を描きながら問題を1回だけ読んで、式は書かないで答えを出して下さい。読み返してはいけません。
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4.次に、絵図を描きながら問題を1回だけ読んで、まずは式は書かないで答えを出して、絵図を見ながら式を書いて下さい。絵図は何度見ても結構ですが、読み返してはいけません。
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●答えは 16匹 です。
1.は解けない人が多いでしょう。理由があります。
*<できない理由>→ここで、簡単に解くと天才と言われます。
2.は文章問題を数多く解いている人は解けるでしょう。
3.は正しく絵図を描いてさえいれば誰でも解けるでしょう。(この問題が年長さん用である理由)
4.は立式できなかった人も立式できるようになる過程を味わうことができる方法です。
※式は文章から作るのではなく絵図から作るのが基本なのです。この基本を忘れたまま文章から立式していると「簡単な問題は立式できても複雑な問題は立式できない」あるいは「先に式が思いつかないと分からないと思い込んでしまう」立式病にかかってしまいます。
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●では、ここで皆さんに天才(の思考)になってもらいます。先ほどの問題を絵図で描いておきます(言葉の視覚イメージ化をしておきます)ので、問題文をゆっくり読み、納得するまで絵図を見て、絵図を覚えて下さい。
<0MX03>
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ここは くらげのうみです。まいにち たくさんの くらげが あつまってきます。
●● ●●● ● ●●● ●●● ●●●● ●●●
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きょうは きのうよりも 5ひきおおいようです。
きのう きょう
??? ???
●●●●●
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きのうの くらげは 6ぴき でした。
きのう きょう
●●●●●● ●●●●●●
●●●●●
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あしたもまた きょうと おなじかずだけ ふえるとすれば
きのう きょう あした
●●●●●● ●●●●●● ●●●●●●
●●●●● ●●●●●
○○○○○
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あしたは くらげは なんびきになるでしょうか。
きのう きょう あした
●●●●●● ●●●●●● ●●●●●●
●●●●● ●●●●●
●●●●●
↓
16
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※もちろん、●は可愛いクラゲであることが重要です(楽しいので)が、コレは大人用です。
※子供達の実際の絵図
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※ここで、天才になってもらってもいいのですが、もう一度、次の絵図を見て下さい。
ここでは、文字から絵図を経由してさらに記号化を進めた数字にしています。数字に慣れている人には再現しやすい絵図ですので、こちらを覚えてもらっても結構です。ただし、学習効果としてはクラゲの絵(子供の絵図を使って考えたもの)がダントツで一番です。
<0MX03>
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ここは くらげのうみです。まいにち たくさんの くらげが あつまってきます。
……………………………………………………………………………………………
きょうは きのうよりも 5ひきおおいようです。
きのう きょう
χ χ
+5
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きのうの くらげは 6ぴき でした。
きのう きょう
6 6
+5
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あしたもまた きょうと おなじかずだけ ふえるとすれば
きのう きょう あした
6 6 6
+5 +5
+5
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あしたは くらげは なんびきになるでしょうか。
きのう きょう あした
6 6 6
+5 +5
+5
16
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●これで、天才になる準備ができました。上記の絵図を必ず頭の中で再現しながら、問題を解いてみて下さい。今度は紙も鉛筆も計算式も使いません。でも、出来ます。
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<0MX03>
ここは くらげのうみです。まいにち たくさんの くらげが あつまってきます。
きょうは きのうよりも 5ひきおおいようです。 きのうの くらげは 6ぴき
でした。 あしたもまた きょうと おなじかずだけ ふえるとすれば
あしたは くらげは なんびきになるでしょうか。
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●これは、何度も問題を読んだからでもなく答えを知っているからでもありません。視覚イメージの操作が出来るようになったからです。視考力を身に付けたからです。その検証のために次の問題をやってみて下さい。初めての問題でも視考力は万能です。
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<0MX09>
うちゅうからの おくりものを もっているひとが います。 そのおくりものは、
1にちで 4ほんの ふしぎなはなを にわに さかせるそうです。
いま、にわには 8ほんのふしぎなはなが あります。 きょうのぶんのはなは
いまからさくようです。 では、あしたのぶんまで いれると、 にわには
なんぼんのふしぎなはなが さくことに なるでしょうか。
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●答えは 16本 です。絵図を描けば簡単ですが、頭の中だけでは視覚イメージの保存力がなければちょっとやっかいです。でも、方法(視覚イメージを使うこと)を知っているので必ずできます。
※みんなが天才になる必要はありませんし、目指すのは無用です。なぜなら、天才と同じ事が手を使って絵図を描き目を使ってその情報を取り入れながら考えることで、簡単にできるのですから。これが、基本教育です。人間の思考は誰でも同じ方法を使っているからです。
1.で難しいと感じる部分と、その理由。
■難しいと感じる部分は
「きょうは きのうよりも 5ひきおおい」
とあるのに基準の数が分からないので「きょう」の数が確定できない。
→全体図を見ることをしない習慣が付いているので全体図を思い描く力が育っていない
→直線的に結果としての答えだけしか残らない「九九の暗算」と全体が常に見えている状態のまま答えも分かる「三角視算表」の違いと同じ理屈です。全体図を見る方が格段に応用力があります。
「あしたもまた きょうと おなじかずだけ ふえるとすれば」
とあるのに「きょう」の数がまだ分かっていないので混乱する。
→頭の中でのイメージ保存(思考力の基本)ができないと、問題文中の数字がどこのことを指しているのか分からない(見えない)ので、数字だけが目について混乱する。そこで、デタラメに足したり引いたりが始まる。
→確かな視覚イメージ再現が出来れば簡単です。
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●「どん
ぐり倶楽部」の「良質の算数文章問題」が国語力(読解力)も養成できる理由。それは、シーン展開を含んでいるからです。算数と国語の違いは1シーンの細部
描写(再現)か多数シーンの曖昧描写(再現)かの違いです。本質的には(視覚イメージ再現という点においては)全く同じなのですが、細部描写には根気と緻
密さが必要ですし、複数シーンの流れをつかむには大まかな理解(再現)で数多くのシーン理解(再現)をする、あるいは完全に理解しなくても次に行く大雑把
さ(拘りすぎないこと)が必要になります。ここで大事なことは精細(緻密なこと)から大雑把になることは比較的に簡単ですが、逆は難しいということです。
整理整頓を出来る人が乱雑にするのは簡単ですが、日頃から乱雑にしている人が整理整頓するのは難しいということです。「どんぐり倶楽部」の「良質の算数文
章問題」は算数の文章問題ですから緻密さを要求されます。しかもかなり高度な緻密さです。さらに、ストーリー性を加えてありますから解きながらの遊びがあ
ります。実はこれが国語の複数シーンの把握につながるのです。算数の文章問題が楽しくなければいけないのは「飽きないように」ではなく、国語力もつけるた
めなのです。ですから、「どんぐり倶楽部」の「良質の算数文章問題」はこれだけでも国語力も算数力も付くのです。プラトンが創立した哲学学校の門に「幾何
学を解さざる者入るべからず」と刻んだのは「哲学には精緻な思考が必要である」ということです。計算とは全く関係ないのです。
【音読と計算は学力養成の基礎ではないことの検証】
1.まず、次の計算を素早くサラサラとできるまで練習してください。何日かかっても構いません。
暗算できるまでやってみるといいでしょう。
5+5=10、5+6=11、6+5=11、6+6=12、10+5=15,10+6=16,11+5=16、11+6=17、10+11=21
2.次に、次の文章を国語の音読練習のつもりで、暗記してスラスラと暗唱できるようにしましょう。
何日かかっても構いません。
ここは くらげのうみです。まいにち たくさんの くらげが あつまってきます。きょうは きのうよりも 5ひきおおいようです。 きのうの くらげは
6ぴきでした。あしたもまた きょうと おなじかずだけ ふえるとすれば、あしたは くらげは なんびきになるでしょうか。
※ただし、必ず普通に宿題をしているように行ってください。
3.上記のことができると、通常、基礎基本と呼ばれていることが「完璧」にできたといいます。
では、最も簡単な算数の文章問題を解いてみましょう。<年長さん向け>の問題です。
もちろん、ノーヒントです。
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<0MX03>
ここは くらげのうみです。まいにち たくさんの くらげが あつまってきます。
きょうは きのうよりも 5ひきおおいようです。 きのうの くらげは 6ぴき
でした。 あしたもまた きょうと おなじかずだけ ふえるとすれば
あしたは くらげは なんびきになるでしょうか。
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●もしも、解けなければ、計算練習や音読(暗唱も)などの高速多量反復学習は、計算力も読解力も育たないという証拠です。つまり、基礎基本ではないということになります。
基礎基本と呼ばれていることが「完璧」にできた...と思っていることは全くの勘違いだということになります。
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