総索引
●自著を語る「絶対学力〜9歳の壁をどう突破していくか〜(T.Itoyama)」:文春ネスコ発行・文藝春秋発売
 今から二十数年前のことです。小学生に算数の文章問題を教えていて、こんなことがありました。
その子が帰るときにポツンと「楽しくないな」と言ったのです。その時は「勉強だから楽しくなんか
ないの」と応えました。ですが、実は内心かなりのショックを受けていました。「本当に楽しく勉強
できないんだろうか」と思ったからです。
 暫くは「勉強だから」と思っていましたが、どうしても納得できませんでした。ですが、どの問題
集を見てもお世辞にも楽しく解けそうな問題はありませんでした。そこで、自分で問題を作ってみま
した。電線亀の問題です。すると「先生、電線亀って何?」「ん?電線に止まってる亀に決まってる
だろ。この前見たのは、こんなのだったかな」と絵を描いてやると「何それ、そんな亀いるわけない
じゃんか」と笑い転げながら絵を描いて解きだしました。内容的には難しい問題だったのに、その子
は楽しく解き終えました。そして、帰り際にその子は「あ〜、楽しかった」と言ってくれたのです。
 その時、私は涙が出ました。嬉しかったこともありましたが勉強は楽しくできると確信できたから
です。今では、そういう問題をホームページで七百題以上公開しています。そして、この本にも数十
題収録しています。
 この時から、私は全ての教科で様々な工夫をしてきました。教える方の工夫次第で勉強は楽しくで
きるのです。今では計算問題でさえも楽しくできると思っています。
 今でも「計算は得意なんですけど文章問題が苦手で困っています」「計算が遅くて困っています」
「漢字が覚えられません」「考える力がないようです」「すぐに諦めてしまいます」「日記や作文が
全く書けません」「図形問題が解けません」「英語が頭に入りません」等の相談を受けますが、もう
そんなのはドンと来いです。勉強は工夫次第でどうにでもなるのです。
 この本では、瞬時に基礎計算ができるようになる「トライアングルナンバーズ」、誰でも算数文章
問題ができるようになる「良質の算数文章問題」、一つの物語の中に一学年全ての漢字が入っている
「漢字読本」、自然に簡単に考える力を育てることができる「目で考える学習」
などを紹介しています。
 書き上げてみると、この本は「子育てと教育」に関する新しい考え方と家庭学習の具体的方法を書
いた本になりました。
 読者からのメールに「この本に書かれている、やってはいけない家庭学習を一生懸命に実行してい
た父親です。子供の様子を見ていて、なんとなく疑問や不安に感じていたことが、貴書にすべて書か
れていました」「これまで、とにかく計算のスピードを上げるためとか、漢字を多く覚えるためとか
といったことを目的に、ドリルを沢山やらせておりましたが、「絶対学力」の本を購入しじっくり読
ませていただき、やはり今後本当の意味での学力をつけるためには、これまでの方法では全く役に立
たないことがはっきり分かりました」ともありました。
 今までになかった学習方法を何点も紹介していますので、戸惑われるかもしれませんが、まずは御
自身で試してみて下さい。アインシュタインは「一番よく分かるのは自分自身で体験することだ」と
言いました。私もそう思います。ホームページには携帯電話からでもアクセスできますので、是非ご
利用下さい。