「絶対学力」推敲前の原稿より ◆文章問題は解き方を学ぶだけの材料ではない パターン学習ばかりをさせている先生は、どんなに良質な問題もパターン学習の材料にしてしまいます。ある本の中で「文章問題はある答を求めるために作られた問題です。つまり、いくら考えても、解き方は限定されています。ですから、思考というより、解き方を学ぶ教材ではないでしょうか」という文章を見て大変驚きました。こんな考えをしている様では「目で考える」ことの重要性は理解できないでしょうし、子どもの考え方を生かすことも出来なければ考える力を付けることも出来ないでしょう。さらに、この文章を書いた人が小学校の先生であることを知ったときには本当にガッカリしました。解き方を計算式にたどり着く方法としか思っていないのでしょう。解き方とはアプローチの方法であり解く人の絵図が全て異なるように解く人の数だけ存在します。絵図の書き方・移動のさせ方・計算手順などの全てが解き方なのです。解き方とは考え方です。答が出なくてもいいのです。式がたてられなくてもいいのです。文章をイメージ化して絵図で表現することが大切なのです。忠実に再現された絵図は答を導いてくれます。この過程で目で考えることを学ぶのです。つまり、考える力が生まれるのです。思考とはイメージを操作することです。ですから考える力を付けるには文字(言葉)をイメージ化することが大切なのです。そして、このイメージ化を助ける強力な味方が「目で考える力」であり、最適な材料が良質の算数文章問題なのです。同じ材料(文章問題)を使っても解き方を計算式にたどり着く方法としか思っていない人には文章問題で思考力を養成することができない理由がここにあります。悲しいくらいに貧弱な考え方です。美味しいナスを手に入れたにもかかわらずナスの皮だけを使って料理をしているようなものです。 |