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活性化するとは?
「脳が活性化している」という言葉には注意が必要です。「活性化している」というと全て良いことのように受け取られがちですが、実は「エネルギーを消費している」ということに過ぎないからです。「エネルギーを消費している」とだけ言われて喜ぶ人がいるでしょうか。まず、いません。ですから、何らかの意図がある場合には「エネルギーを消費している」という言葉の代わりに、勝手に良い方に勘違いしやすい (好印象を与えることができる)「活性化している」という言葉を使うことがよくあります。医学界では使ってもいいでしょうが教育界では禁句なのです。
 重要なのは何をするためにエネルギーを消費しているのかということです。何かを深く考えているときのエネルギー消費量と高速単純計算をしているときのエネルギー消費量が同じだからといって同じように頭を働かせているわけではないのです。それなのに、高速単純計算をしている子供達を見て「いきいきしている」と喜んでいる人がいますが、もしもこの状態を「頭を使っている=考えている」と思っていては大間違いです。これは「何も考えていないのにエネルギーを消費している状態」なのです。
◆頭に電気を流しただけでも頭は「活性化している」状態になるのです。大切なことはエネルギーを何に使っているかということです
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●ポジトロンCT(PET)やファンクショナルMRI(fMRI)は「局所脳血流の増加と神経活動によるエネルギー消費の増大が関連している」=「エネルギーの消費を補うために血流が増加しているところを確認することができる」という前提のもとで活用されている機械です。
 つまり脳が効率的に働いているのではなくて単にエネルギーを消費している部分を確認できるというだけなのです。
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●教育界に於いて、学習に関することを、解明されていない脳科学を引き合いに出して話をすることは教師や保護者に対して失礼であり馬鹿にしていることだと思います。
 単純計算での活性化は無駄にエネルギーを消費している状態と酷似しています。
自動車のエンジンはオーバーヒートして壊れる寸前が最も活性化している状態であり、それは無駄で異常なことなのです。それなのに「脳が活性化している=良い状態」であるかのような印象を与える言い回しはいかがなものでしょうか。
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●東北大学未来科学技術共同研究センターの川島隆太教授は「難しい問題を解いているときは脳の一部分しか使われないが、百マス計算や音読のときは脳全体に血流が集まることが実験で明らかになった。」とのデータを紹介していらっしゃいます。
 つまり、考えてもいないのに活性化している。走っていないのにエンジンがフル回転している。最も危険な全脳活性化空吹かし現象を引き起こしているということです。計算能力と考える力は全く別物だというデータと考えるのが妥当です。

「百ます計算」を止めた理由と改善策
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