●子育てと学習に関する大原則●

        総索引】<donguriclub@mac.com

●「絶対学力」は0-15歳の子育てと家庭学習のヒント集になればと思って書きました。
 「絶対学力」はこの講演会の内容を詳しくして資料を加えた本です。是非、参考にして下さい。
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★★★言葉のトリガー理論★★★〜最も重要な教育理論〜
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保護者のための教育講演会(記録)

<0歳から15歳までの家庭学習のヒント>〜Your will makes your way.〜

目 次

§1:一番大切なこと(人は言葉によって育てられる)【目次】【総索引
   ※全ての基本・子育てに失敗しないための一番大事なキーワードは「情緒の安定」

   ※「見て見て聞いて聞いて」を大切に!

   
★★★言葉のトリガー理論★★★
   〜最も重要な教育理論〜

§2:3つの旬(心の発達・頭の発達・体の発達)【目次】【総索引
   ※何事もタイミングが大切(与えればいいと言うわけではありません)

§3:母親の最大の責任は言葉の習得【目次】【総索引

   ※言語レベルは学力レベルと比例する(人は言葉で考える)

§4:読み聞かせは最低でも小3まで【目次】【総索引
   ※6歳まででは水の泡

§5速くてはいけない!計算練習の落とし穴(低学年で高速計算練習をしてはいけない理由)目次】【総索引

   ※小1〜小3までの学習内容が少ない理由(先行学習ではなく深い学習をする)

   ※捕足説明[質問が多かったので捕足説明をしました]
■計算が速くてはいけない理由:速くていいのは「10の補数」と「九九」だけです。他の計算まで速くしては いけません。なぜなら、考える力を養成すべき時期には速さが一番の大敵となるからです。単純作業を速くするには何も考えないで作業に没頭する必要があります。また、速い作業をしている時に何かを考えようとしても考えられません。つまり、速い作業は考えることを妨害する作用があるということです。速い作業(高速計算)をし ている時には頭の中では「考えるな」という指令が出ているということです。集中できているという人がいますが「考えない集中力」をどんなに付けても思考力は育ちません。計算は速い方がいいという人がいますが、高速計算(視算ではなく計算)の練習に使う時間が「考えない訓練の時間となること」が大きな問題なのです。高速計算をさせて自信や達成感を持たせてはいけないのです。「せめて単純な計算ができるように」という声も耳にしますが、不要な単純計算練習のために使っていたエネルギーの一部を視考力の養成に回すだけで「考える力」も同時に育てることができるのです。
■計算練習ドリルの手抜きと工夫の比較

■私の大失敗:私は一時期、5〜400マス計算をさせていたことがあります。計算は速くなるしゲームのようにできるので大人気でした。自信や達成感も持たせられるのでいい方法だと思っていました。ところが、これは大失敗でした。高速単純計算は「考えない頭」を育て「学習を妨げる優越感」を招きました。残ったのは直ぐに壊れてしまうガラスの自信と無意味な達成感を喜ぶ子供の姿だけでした。子供達は、表面的には計算が速く知識豊富な「できる子」なのに、実は「考えることができない子」に育ってしまいました。考える方法を教わらなかったので計算と知識に頼らざるを得なくなっていたのです。私自身もこの時はまだ、「読み・書き・計算」が基本であり、「読み・書き・計算」を徹底すれば「考える力」は自然に育つと信じ込んでいたのです。「読み・書き・計算の力」と「考える力」の決定的な違いに気付いていなかったのです。今私は、自信や達成感を持たせられればどんな方法でもいいわけではないことを痛感しています。幼ければ幼いほど方法(過程)が大切なのです。なぜなら成長過程にある幼児は吸収力があるだけに方法そのものをもまるごと吸収してしまうからです。手抜きをすれば手抜きを全てマスターするのです。表面的な力を求めると見事に表面的な力だけを付けてしまうのです。見当外れの無意味な(価値のない)達成感(快感)を味わった幼児は、無意味な行動でも達成感(快感)を得るために反復行動をとるのです。幼児期の教育は一生を左右します。従って、反射的な単純作業の反復は必要最低限とすることが肝要なのです。ですから、幼児期の高速単純計算は厳禁なのです。ところが今でも「高速計算練習」を小学校低学年で実施している人がいます。これでは思考力の基本を育てるべきときに、思考力の養成とは全く反対の条件反射力(考えない力)を育てていることになります。これでは幾ら時間があっても「考える力」を育てることはできません。そして、この条件反射教育は将来的には短絡的な考え、幼稚な判断しかできない幼児大人を作ってしまいます。一度「考えない頭」に育てられた子供を軌道修正するには大変な労力を要します。子供達のためにもう一工夫しようではありませんか。

§6:学校の役割・家庭の役割【目次】【総索引
   ※学校でできること・できないこと&家庭ですべきこと・すべきでないこと

§7:教科書の構造【目次】【総索引

   ※教科書の仕組みが分かれば、いつ何をすればいいのかが見えてくる

§8:よい宿題・悪い宿題【目次】【総索引

   ※宿題は使い方次第で、毒にも薬にもなる(やればいいというものではない)

§9:蔓延する『満点落ちこぼれ現象』【目次】【総索引

   ※低学年で満点でも高学年で落ちこぼれていては本末転倒(異常事態には理由がある)

§10:やってはいけない11の家庭学習方法【目次】【総索引

   ※低学年でやってはいけない11の学習方法とその理由



§10-2:校外学習と保護者の関わり方(塾・家庭教師・親子学習などの次善策の注意点)

§11:伸びる子供の共通点【目次】【総索引

   ※本当の基礎学力とは

§12:食べ方よりも捕り方を教える【目次】【総索引

   ※最初に教えるべきことは学習内容ではなく学習方法です

§13:誰にでもできる効果的な学習方法【目次】【総索引
   ※学習方法は変化しない方がいいから簡単便利で効果的な「分からん帳」

§14:やる気を学力に繋げる方法【目次】【総索引

   ※やる気も準備次第(やる気がある時の学習方法・やる気がない時の学習方法)

§15:塾に行かずに高校受験【目次】【総索引

   ※塾に行かずに高校受験を完全攻略(教科書と先生をフル活用する)

§16:高校入試のABC(高校入試の表裏)【目次】【総索引

   ※本当の合否判定基準&三者面談の受け方にも方法がある

§17:習い事の落とし穴【目次】【総索引

   ※技があっても味わえなければ大成しないし楽しめない

§18:学習の第1法則・第2法則(学習の大原則)【目次】【総索引

   ※入力なければ出力なし・消化なければ全てなし

   ※表面的な学習は時間の無駄遣い

   ※学習の基本は量より質を重視して応用の効く深い学習をすること

   ※ダラダラと無駄な時間を使わなければ十分に遊ぶ時間も確保できる!

§19:「頭の健康診断」【目次】【総索引
   ※現状分析が全ての出発点(病状を知らずに手当ては出来ません)

§20:「分からん帳」作成講座【目次】【総索引

   ※「分からん帳」で何でも分かる(タダで出来る究極の個人別オリジナル問題集) 

§21:理想的なテキスト【目次】【総索引
   ※無理なく無駄なく効果的な学習ができるテキストとは

§22:学習の基本をもう一度【目次】【総索引
   ※「慌てず・焦らず・諦めず」「ゆっくり・ジックリ・丁寧に」

§おわり:「どんぐり倶楽部」が目指すもの【目次】【総索引

目で考える
設問解釈

(連絡先)〒811-1356 Fukuoka-Hanahata-2-21-33-105  DONGURI-CLUB

      E-mail:donguriclub@mac.com
    【目次】【総索引

§1:一番大切なこと(人は言葉によって育てられる)━━━━━━━━━━━━━━━━━
 「人は言葉によって育てられる」という言葉があります。子育ての基本もまた、同じです。暖かい言葉のシャワーが心の成長を促し、豊かな言葉のやりとりが頭の成長を促します。このことを心に刻み込んで、年齢別に子育ての要点をみていきましょう。暖かい言葉のシャワーが大切なのです。
子育ては大きく分けて3つの時期に分かれます。言葉を話すようになる3才までの言語習得時期・論理的な思考力をそだてる9才までの思考力習得時期・基礎知識を身につける15才までの知識集積時期です。これらの時期は、不思議なことに、全て3年サイクルで成長を続けます。これらのことからも、3年という年月が1つのことを習得するには最低の必要時間ではないかと考えられます。
 実は、学校で使われている教科書もこの発達過程を踏まえて構成されていますので、ここで示した各々の発達過程での十分な発達がなされていないと、学習に支障をきたすことになります。顕著な例が思考力習得時期における不十分な発達が原因による高学年での落ちこぼれ問題『満点落ちこぼれ現象』です。これは、思考力をつけるべき時期に知識の集積をさせてしまい、具象から抽象への飛躍を妨げていることが主な原因となっています。小学校低学年で先行学習をしている殆どの場合が、このパターンに陥っています。【目次】【総索引


★★★言葉のトリガー理論★★★
〜最も重要な教育理論〜


§2:3つの旬(心の発達・頭の発達・体の発達)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 何かが無理なく十分に発達するにはタイミングが最も重要だと言われています。そして、このタイミングを逃すと無理強いをしたり、アンバランスな発達になったりと必ず弊害が出ます。心の発達・頭の発達・体の発達にもタイミングがあります。この発達のタイミングを発達の旬といいます。
0才〜6才が心の発達の旬(6年間)です。


3才〜9才が頭の発達の旬(6年間)です。

9才〜15才が総合発達の旬(6年間)です。心と頭の成熟期です。

12才〜18才が体の発達の旬(6年間)です。

 これらのことは「肉体の老化は18才から始まる」という事実(生物学)からも理にかなっています。この旬という考えを取り入れた子育てと学習方法を別紙の「自然な発達に沿った正しい学習手順」にまとめてあります。
 以下に、別紙の説明を兼ねて解説します。
発達の旬は6年間ですが、この6年間はさらに3年間+3年間に区分されます。ここでは、0才〜15才を5つに区分して説明します。【目次】【総索引


◆0〜3歳・言語習得時期※無から具象への飛躍(乳幼児期)━━━━━━━━━━━━━
言語修得をするために発達する時期です。この時期に具象を理解する具象への飛躍をします。この具象認識の発達は9歳までに90%以上の完成を遂げます。この時期を一つのタイミングととらえて上手く飛躍出来るようにしてあげることが最も大切なことです。但し、自然な発達に沿った方法でなければ正常な発達は望めませんので要注意です。以下に具体例を示します。
 無から具象への飛躍を十分に成し遂げるには「語りかけを伴った体験的な情報入力」が最も効果的です。そして、この語りかけをするのは母親が適任者です。また、情緒の安定はあらゆる学習をする場合の基礎になりますから、乳幼児期には情緒の安定に注意を払うべきです。特に、この時期に欲求不満が高じると情緒が不安定になり、何をやっても受け付けなくなってしまいますので要注意です。危険信号としては、金切り声を上げるという行為があります。金切り声は欲求不満の印です。少なくとも3歳までは、子供に欲求不満を感じさせないようにしたいものです。「語りかけを伴った体験的情報入力」とは実際に体験していることに関しての情報を、反応があってもなくても語りかけをしながら一緒に楽しむということです。例えば、お風呂に入っているときには、お湯や石鹸や「熱い、冷たい」等のことを楽しく語りかけるなどです。従って、この時期の文字情報や実体験できないことを見たり聞いたりすることは的外れな学習と言えます。豊かな入力がなければ豊かな出力(表現)はあり得ません。実体験を通した豊かな声かけ・語りかけをお願いします。
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◆3〜6歳・思考力習得時期A※具象の世界の成熟(年少〜年長)━━━━━━━━━━━

 話したくてたまらない時期です。この時期には十分に聞いてあげることが最も大切なことです。その延長線上で語りかけの発展形としての「楽しい読み聞かせ」が重要な役割を担います。十分に聞いてあげて、十分にお話をしをしてあげることが最も重要なことです。
この時期は具象を通して考えを深めて行く時期でもあるので一つ一つを丁寧に見ながら考えていくことができる環境を作ってあげる必要があります。従って、習い事の氾濫などは、百害あって一利なしということです。ただし、味わうことについては旺盛な吸収力を持っていますので、積極的に見たり聞いたりすることはいいことです。例えば、ピアノを習わせるのではなくコンサートを聞きに行く。お絵かき教室に行かせるのではなく美術館に行く。つまり、入力の質を高めるということです。豊かな入力あってこその豊かな出力なのです。味が分からなくてはいかに優れた技を持っていても一流の料理人には絶対になれないのです。質の高い豊かな体験が最も重要なのです。
 もう一つこの時期注意して欲しいことが命令口調の会話です。命令口調の会話は対話とは呼べません。「〜しなさい」ではなく「〜しようか」「〜しましょう」「〜できるかな」「〜してくれるかな」「〜するよ」という風に話し方を工夫して、子供との対話を尊重しましょう。
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◆6〜9才・思考力習得時期B※具象から抽象への飛躍(小1〜小3)━━━━━━━━━

 この時期から系統的学習が可能になります。学校が始まる時期がこの年齢に設定されているのも系統的学習(応用学習)が可能になる年齢だからなのです。この時期に注意しなければいけないことは、学習の本質を忘れないことです。学習の本質とは覚えることではなくて理解することです。また、この時期にすべきことは効果的な学習方法を習得することです。さらに、先行学習ではなく深い学習を心掛けることが大切です。特に、不必要な知識の集積や平均以上の速さ等を求めると、高学年での自己崩壊につながります。少量の少し複雑な問題をゆっくりジックリ丁寧に考える練習が不可欠です。もちろん読み聞かせは最低でも小3まで続けて下さい。さもなければ、今までの苦労が水の泡になってしまいます。また、この時期に親子学習をすることは絶対に避けて下さい。最も学習習慣が付きやすいこの時期に、親が子供に教えることで、先生に質問して教えてもらうという最も大切な学習習慣を付けるチャンスを奪ってしまう結果になります。親が子供に教えることは先生に質問しない習慣を付けていることと同じです。先生に質問しない習慣を付けられた子供は高学年で例外なく学業不振になってしまいます。少量の少し複雑な問題をゆっくりジックリ丁寧に考えて、分からないことは先生に質問して教えてもらう。これ以上に優れた学習方法はありません。この小1〜小3の時期の過ごし方が、その後の全ての学習の基礎になります。【目次】【総索引


◆9〜12才・知識集積時期A※抽象の世界の成熟(小4〜小6)━━━━━━━━━━━

 小4〜小6は学習面でも抽象概念を駆使して多くの項目を理解しなければならない最大の関所です。小1〜小3の時期に、十分なウォーミングアップ(考える力の養成)をしていないと今までの表面的な成績は直ぐにはがれ落ちてしまい『満点落ちこぼれ現象』の当事者となってしまいます。逆に小1〜小3の時期に、十分なウォーミングアップ(考える力の養成)をしていると、学習内容が高度になるにもかかわらず勉強が面白く感じられるようになります。この時期のためにも、くれぐれも小1〜小3の時期に先行学習はせずに深い学習を心掛けて下さい。もちろん、まだまだ速さを求めてはいけません。「ゆっくりジックリ丁寧に」です。【目次】【総索引


◆ 12〜15才・知識集積時期B※理論的思考の発達(中1〜中3)━━━━━━━━━━━

 さて、いよいよ高校入試に向けての3年間が始まります。実は、理社も含めて高校入試の内容は小4から始まっていますので、この時期は高校入試の折り返し地点なのです。つまり既に高校入試の半分は学習を終えているということです。この事実は小学校の理社の教科書と中学校の理社の教科書を比較すると明らかなように全ての教科で共通していることです。従って、弱い科目は早急に小4からの復習が必要になります。逆に小4〜小6の学習内容を消化している人にとっては余裕の3年間になるでしょう。

 いずれにしても、この時点で学業不振に陥っている場合は
モ「正しい学習方法を身につける」

モ「基礎項目を復習する」

モ「高校入試のレベルを知る」

モ「無理のない計画をたてる」

 と早急に学習環境を整える必要があります。ただし、9年間分(小1〜中3)の内容を3年間(中1〜中3)で全て消化するのは不可能ですので、学習内容の検討は慎重に進める必要があります。
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§3:母親の最大の責任は言葉の習得 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 母親の最大の責任は豊かな言葉を習得させることです。女性は男性よりも言語能力が優れていると言われています。また女性は男性よりもオシャベリな人が多いのは人類の英知ともいえる遺伝なのです。女性の特権は子供を産めることであり責任は言葉を習得させることなのです。また言語レベルは学力と比例するというのは当然のことで、先生の言葉が分からなければ、授業は分からない、言葉が分からなければ参考書でさえも理解できません。
 0歳から3歳までが音を言葉に変える時期です。楽しい語りかけが必要です。4歳から6歳までは言葉を自分のものにするための試行錯誤の時期です。丁寧に聞き役に回って十分に対話を楽しんで下さい。また、読み聞かせは言葉のイメージ化に大変役立つものですので、是非活用して下さい。7歳から9歳までは対等に話ができますが、言葉の量は幼稚なものですので、丁寧な対話を通して豊かな言語世界を作ってあげて下さい。

※もちろん最低でも小3までは読み聞かせを続けて下さい。【目次】【総索引

§4:読み聞かせは最低でも小3まで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

就学前までは絵本の読み聞かせをしていた人が、子供が小学校に入ったり 自分で本を読めるようになったりすると、読み聞かせをやめてしまう人がいます。何ともったいないことでしょう。あと3年続ければ大きな成果が現れるのに、今までの苦労が水の泡です。
自分で読むことと聞いて楽しむこととは、全く違うということをご存知でしょうか。特に、読めるようになったばかりの小1の時期には、自分で読むことと聞いて楽しむこととの間には雲泥の差があります。思考力・創造力を獲得するにはイメージする力の発達が必要です。そして、イメージする力の発達には聞いて楽しむことができる読み聞かせが最適なのです。ですから、思考力・創造力が飛躍的な発達を遂げる小1〜小3の時期に読み聞かせが必要なのです。自分で読む場合には、読むことにエネルギーを使ってしまいイメージ化が貧弱になってしまいます。その結果、読めるだけで読み取れない<本読み得意の本嫌い>になる可能性が増大するのです。ところが、読み聞かせだと100%のエネルギーをお話のイメージ化に費やすことができるので、楽しく、しかも効果的にイメージ化できるのです。また、自分で読む本と読んでもらう本では質・量ともに差が出てくるのは当たり前です。この時期に読み聞かせをしてあげないのは、輝き始めた宝石に泥を塗ってしまうようなものです。
※読み聞かせは読解力のテストではありません。読んだ後にストーリーや登場人物の確認をしたりしてはいけません。楽しく読んであげて「楽しかった」という体験を積み重ねてあげることが大切なのです。【目次】【総索引

§5:速くてはいけない!(計算が速くてはいけない理由)━━━━━━━━━━━━━━━

 速くて悪いことはないと思っている人が大勢いらっしゃいますが、速くてはいけないこともあるのです。特に、考える力を養成すべき時期には速さは大敵となるのです。「作業と思考は反比例する」ということをご存知でしょうか。例えば、単純作業を速くやろうとする場合を考えてみて下さい。単純作業を速くやるには何も考えないで作業に没頭する必要があります。また、速い作業をしている時に何かを考えようとしても考えられません。つまり、速い作業は考えることを妨害する作用があるということです。この基本的な作用を頭においたうえで小学校低学年の家庭学習の方法を見直すと、高学年で伸びる子供・考える力のある子供の育て方が自然に分かると思います。
 小学校低学年の時にしなければいけないことは「考える力」と「正しい家庭学習の習慣」を身に つけることです。そして「考える力」を養成するためには、できるだけ条件反射の養成となる高速の機会的反復作業をしないことです。具体的には計算等でスピードを競うことは最もいけないことです。スピードをつけることはいつでもできますが、ゆっくりジックリ丁寧に考えるという習慣はなかなかつかないものです。さらに、考える力のない子は小4からの抽象概念の世界を理解すること自体が難しくなりますので、全教科で落ちこぼれる可能性が出て来ます。また「分かる」ことと「できる」こととは必ずしも一致していないことも知っておくべきです。手順をまねて答えを出しているだけの「できる」では、いつまでたっても「わかる」状態にはなりません。
 では、深い学習とは、どんな学習でしょう。
 現在の算数の教科書では小2で長さの単位(cmとmm)を学習するのですが、長さの基準となっているm(メートル)の学習はしません。基準を学ばないと「1cm=10mm」という換算を何の脈絡もなく覚えなくてはいけなくなります。そして、ひたすら計算問題を繰り返すのです。長さの単位を理解するのではなく、暗記するわけです。一方、深い学習では、まず基準となるm(メートル)を教えます。mができた過程(歴史)を教えるだけでも大変面白く興味をそそるものです。次に、単位の構造を教えます。単位の構造は 次の言い回しで覚えます。「キロキロ(k)とヘクト(h)デカ(d)けたメートル(m)がデシ(d)におわれてセンチ(c)ミリミリ(m)」これは単位に使われている主な記号を覚えるための語呂合わせですが大変良くできていて、k(1000倍)、h(100倍)、d(10倍)、m(基準)、d(1/10倍)、c(1/100倍)、m(1/1000倍)を表しています。この時点で当然倍数の概念も理解させます。このような深い学習をすると、あらゆる換算を何の苦労もなくできるようになります。
 このような深い学習こそが高学年での伸びを促すものなのです。そして、このような学習は、学習項目が少ないにもかかわらず全ての基礎を学ぶ小1〜小3の間にする必要があります。なぜなら、この時期の深い学習が小4以降の伸びを決定するからです。小学校低学年で学習内容が簡単だからといって得意気に部分的先行学習(特に算数の計算問題)をしている子供を多く見かけますが、成果は高学年で文章題が分からない学力不振に結びつくことが多い様です。(最も危険な学習方法です)

■計算が速くてはいけない理由:速くていいのは「10の補数」と「九九」だけです。他の計算まで速くしては いけません。なぜなら、考える力を養成すべき時期には速さが一番の大敵となるからです。単純作業を速くするには何も考えないで作業に没頭する必要があります。また、速い作業をしている時に何かを考えようとしても考えられません。つまり、速い作業は考えることを妨害する作用があるということです。速い作業(高速計算)をし ている時には頭の中では「考えるな」という指令が出ているということです。集中できているという人がいますが「考えない集中力」をどんなに付けても思考力は育ちません。計算は速い方がいいという人がいますが、高速計算(視算ではなく計算)の練習に使う時間が「考えない訓練の時間となること」が大きな問題なのです。高速計算をさせて自信や達成感を持たせてはいけないのです。「せめて単純な計算ができるように」という声も耳にしますが、不要な単純計算練習のために使っていたエネルギーの一部を視考力の養成に回すだけで「考える力」も同時に育てることができるのです。
■計算練習ドリルの手抜きと工夫の比較

■私の大失敗:私は一時期、5〜400マス計算をさせていたことがあります。計算は速くなるしゲームのようにできるので大人気でした。自信や達成感も持たせられるのでいい方法だと思っていました。ところが、これは大失敗でした。高速単純計算は「考えない頭」を育て「学習を妨げる優越感」を招きました。残ったのは直ぐに壊れてしまうガラスの自信と無意味な達成感を喜ぶ子供の姿だけでした。子供達は、表面的には計算が速く知識豊富な「できる子」なのに、実は「考えることができない子」に育ってしまいました。考える方法を教わらなかったので計算と知識に頼らざるを得なくなっていたのです。私自身もこの時はまだ、「読み・書き・計算」が基本であり、「読み・書き・計算」を徹底すれば「考える力」は自然に育つと信じ込んでいたのです。「読み・書き・計算の力」と「考える力」の決定的な違いに気付いていなかったのです。今私は、自信や達成感を持たせられればどんな方法でもいいわけではないことを痛感しています。幼ければ幼いほど方法(過程)が大切なのです。なぜなら成長過程にある幼児は吸収力があるだけに方法そのものをもまるごと吸収してしまうからです。手抜きをすれば手抜きを全てマスターするのです。表面的な力を求めると見事に表面的な力だけを付けてしまうのです。見当外れの無意味な(価値のない)達成感(快感)を味わった幼児は、無意味な行動でも達成感(快感)を得るために反復行動をとるのです。幼児期の教育は一生を左右します。従って、反射的な単純作業の反復は必要最低限とすることが肝要なのです。ですから、幼児期の高速単純計算は厳禁なのです。ところが今でも「高速計算練習」を小学校低学年で実施している人がいます。これでは思考力の基本を育てるべきときに、思考力の養成とは全く反対の条件反射力(考えない力)を育てていることになります。これでは幾ら時間があっても「考える力」を育てることはできません。そして、この条件反射教育は将来的には短絡的な考え、幼稚な判断しかできない幼児大人を作ってしまいます。一度「考えない頭」に育てられた子供を軌道修正するには大変な労力を要します。子供達のためにもう一工夫しようではありませんか。
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■コーヒーブレイク「深い学習とは」□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
 現在の算数の教科書では小2で長さの単位(cmとmm)を学習するのですが、長さの基準となっているm(メートル)の学習はしません。基準を学ばないと「1cm=10mm」という換算を何の脈絡もなく覚えなくてはいけなくなります。そして、ひたすら計算問題を繰り返すのです。長さの単位を理解するのではなく、暗記するわけです。一方、深い学習では、まず基準となるm(メートル)を教えます。mができた過程(歴史)を教えるだけでも大変面白く興味をそそるものです。次に、単位の構造を教えます。単位の構造は 次の言い回しで覚えます。
「キロキロ(k)とヘクト(h)デカ(D)けたメートル(m)がデシ(d)におわれてセンチ(c)
 ミリミリ(m)」これは単位に使われている主な記号を覚えるための語呂合わせですが大変良くできていて、k(1000倍)、h(100倍)、D(10倍)、m(基準)、d(1/10倍)、
c(1/100倍)、m(1/1000倍)を表しています。もちろん、この時点で倍数の概念も教えます。そして単位換算表を楽しく作ります。すると、あらゆる換算を何の苦労もなくできるようになります。このような学習が高学年での伸びを促すのです。そして、このような学習は、学習項目が少ないにもかかわらず全ての基礎を学ぶ小1〜小3の間にする必要があるのです。なぜなら、この時期の深い学習が小4以降の伸びを決定するからです。小学校低学年で学習内容が簡単だからといって得意気に部分的先行学習(特に算数の計算問題)をしている子供を多く見かけますが、成果は高学年で文章問題が分からない学力不振に結びつくことが多い様です。
※練習は単位換算表を自分で作ることから始めます。後は、数字を当てはめるだけです。
 10進法の理論を分かっていれば時間をかけて計算する必要はないからです。
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●参考資料<単位換算表>:小2で学習します
「キロキロ(k)とヘクト(h)デカ(d)けたメートル(m)がデシ(d)におわれてセンチ(c)ミリミリ(m)」
     キロ  ヘクト   デカ    基準    デシ  センチ   ミリ
     k    h     d     m     d    c     m
   ×1000  ×100   ×10   ×1   ×1/10  ×1/100 ×1/1000
   ┼───┼───┼────┼────┼────┼───┼───┼─
     km            E         cm   mm
     kl              l     dl     cl    ml
   ┼───┼───┼────┼────┼────┼───┼───┼─
     5   3   2     2     0    1   1
     0   2   5     7     9    0   0
     2   5   9     8     4    1   2
     3   3   4     0     0    0   1
   ┼───┼───┼────┼────┼────┼───┼───┼─
◆この表で分かること
  5.322011km =5322.011m=532201.1cm =5322011mm
  5.322011kl=5322.011 l=53220.11dl=532201.1cl=5322011ml
  0.2579km =257.9m =25790cm =257900mm
  0.2579kl=257.9 l=2579dl =25790cl=257900ml
  2.598412km =2598.412m =259841.2cm =2598412mm
  2.598412kl=2598.412 l=25984.12dl =259841.2cl=2598412ml
  3.340001km =3340.001m =334000.1cm =3340001mm
  3.340001kl=3340.001 l=33400.01dl =334000.1cl=3340001ml
◆この表を使うと実際には使われていない単位まで簡単に作ることができます
     1.234567km(キロメートル)
    =12.34567hm(ヘクトメートル)
     =123.4567dm(デカメートル)
     =1234.567 m(メートル)
     =12345.67dm(デシメートル)
     =123456.7cm(センチメートル)
     =1234567mm(ミリメートル)

●補足説明[質問が多かったので捕足説明しておきます]
 算数の九九は国語でいう「あいうえお」の読みです。従って、無意識にできるくらいに慣れて
 おく必要がありますし、ある程度の速さも要求されます。
 しかしながら、九九とあらゆる計算を速くしようとすることとは全く異なります。
 あらゆる計算を速くしようとすることは国語でいうと内容を考えずに文章を読み飛ばすという
 最悪の習慣を一生懸命につけていることになります。
 確かに見栄えはいいでしょうがなんの役も立っていません。長距離ランナーが最初の3秒だけ
 を格好良く走る練習だけをしているくらいに的外れなことです。
 読み飛ばす習慣がついた子は精読ができません。忍耐力がなく考えるための集中力が続かないの で、すぐに「分からない」と言って投げ出します。
●捕足説明2
 「速くてはいけないのか?」→これまでの考察で正確であれば速い必要がないことは分かってい
 ただけたと思います。では次に「速くてはいけないのか?」ということですが、正確であれば速
 くて悪いことはないので、練習の時期を間違えないようにすることです。小3〜小4までに思考
 回路が飛躍的に発達することは様々な研究で分かっています。従って、この時期に単純作業であ
 る計算の高速化をさせてはいけないということです。自ら思考回路を作る余地をなくしているこ
 とになります。計算のみの練習は小5〜小6の一定期間を使って集中的にするといい結果が出ま
 すし期間も短くてすみます。ただし、3ケ月以内に文章問題に戻ることです。計算は楽なので楽
 な方に慣れると戻れなくなります。
●捕足説明3
 思考回路は言葉のイメージ化の練習を通して作られます。そして、最も簡単で効果的なイメージ
 化の練習は文章を図形化(記号化)したものを目を通して操作する「目で考える」練習です。
 アインシュタインも目で考えていたのです。
●それでも「計算は速い方がいい」と思っている人へ→


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§6:学校の役割・家庭の役割 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 子育ての全てを学校に任せる事が不可能であることは明らかですが、何を任せて何を任せるべきでないのかを判断する事は難しい様です。ここでは「学校でできること・できないこと&家庭ですべきこと・すべきでないこと」をお話します。
 何事も特性を活かすことが最も大きな成果を得るための基本です。学校は、集団指導の場、家庭は個人指導の場です。従って、学校には集団指導に適したことを求め、家庭では集団指導ではできないことをすると考えれば、学校との不協和音は限りなく少なくなります。集団指導のシステムで成立している学校に個別指導を求めること自体がないものねだりであり不毛の地を耕すようなものなのです。
 そこで、学校の役割とは以下の2点だけだと考えてみてはどうでしょうか。
@学校とは社会性を身につける場
A学校とは学習すべき内容を知らせてくれる場(修得させてはくれない!)
 学校では集団行動をすること・友人を作ること、つまり人間関係を体得する場所が学校なのです。また、学習については「みんなが学ぶことはこういうことです」
と内容を示してくれる場所が学校なのです。内容を理解させてくれるところではありません、内容理解は自己責任に置いて(自助の原則)なされることが原則となっているのです。これが、教育業界の常識です。
 では、家庭の役割とは何でしょうか。
 しつけ・学習内容の理解に効果的な指導方法は個別指導です。従って、しつけ・学習内容の理解は家庭で行うのが理想的なのです。その中でもしつけは各家庭で異なる部分がありますので、親が直接指導すべきものでしょう。ところが、学習内容の理解については多くの場合、親は関わらない方がいいという結果が出ています。このことについて、少し詳しく見てみましょう。
 「小3くらいまでは自分で教えられるので教えます」という保護者が大勢いらっしゃいますが、このことが子供が自立して学習できるようになるチャンスを奪っていることだと気付いている保護者がどれだけいらっしゃるでしょうか。もしも、教えるのであれば全教科を中3まで責任を持って教えていただきたいものです。というのも、最も学習習慣が付きやすい小1〜小3(小学校低学年)の時期に親から教わるという習慣がついてしまうと、先生に質問するという、最も大切な学習習慣がないままに、高学年を迎える事になるからです。つまり、低学年での親子学習は、苦労して「先生に質問しない習慣」を付けていることと同じなのです。すべきことは教えることではなく、質問の方法を一緒に考えることです。先生に協力してもらいながら自分で学習を進めていく形式こそが本来の自学自習(自立して学習できる)なのです。お子さんを自学学習のできる子供に育てたいのなら、低学年での親子学習はやめるべきです。どんなに簡単なことでも教えてはいけません。では、親はどうすればいいのか。「分からん帳」が全てを解決してくれます。【目次】【総索引

付記:上記の「しつけ」の中には感情教育を含みます。そして、感情教育には同時体験の原則というものがあります。感情もお手本を学ぶ(真似ぶ)からです。お手本を見せることが教育者(家庭では保護者)の役目なのです。最も難しい感情は「悲しみ」の感情を育てることです。しかし、感情教育も他の教育と同じでお手本を示すことで育てることが出来ます。悲しみの感情は
どんなに悲惨な場面を見せたり説明したりしても育てることは出来ませ んが、どんなに小さな事でも先生(親)が悲しく思っている様子をしてみせれば育てることが出来ます。お手本が悲しんでいるのを見て(感じて)初めて悲しみの感情が育つのです。感情は物事では育たないのです。感情は人から人へと伝播するのです。
感情教育
§7:教科書の構造 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 教科書の仕組みを理解すれば、いつ何をすればいいのかが見えてきます。また、教科書の限界と利用方法も分かってきます。反対に教科書の構造を深く理解しないことが、見当違いの無駄な家庭学習を強いることになります。教科書の内容は健全な頭の発達がなされた子供ならば理解できる学習内容になってはいますが、現状では必ずしも各段階での健全な頭の発達がなされているとはいえませんので、至る所で弊害が出ている様です。
◆小1〜小3:この3年間は項目内容が極端に限定され、しかも各項目の自動反復が教科書の中でできるように作られています。従って、学習内容については、家庭でのフォローはしなくても十分に理解できるものとなっています。ところが、この極端な内容限定と教科書の中での復習には理由があるのです。この時期に家庭でやって欲しいことは、内容理解のフォローではなく、正しい家庭学習の習慣付けなのです。そして、この正しい家庭学習の習慣付けが最も大切であり困難であるために、学習内容での負担を極端に軽くしているのです。つまり、この時期は先行学習などをするための期間ではなく高学年でも通じる正しい家庭学習の習慣付け(深い学習を習慣付ける)をする期間だということです。従って、この時期に正しい家庭学習の習慣付けができていない場合は、小4以降次第に学業不振となっていくのは必然の結果なのです。
※実力テストなどはないので、本人も保護者も中学になるまでは気づかないのが現状です。
◆小4〜小6:この3年間は一気に学習項目が増加します。どうして徐々に増えないのかというと、小1〜小3の3年間で確実に考える力がついているという前提があるからです。従って、小3までに考える力が育っていない場合は学業不振に陥ります。つまり、小3までに考える力と効果的な学習方法を身に付けている者だけが消化できる内容になっているということです。       
◆中1〜中3:この3年間は小4〜小6の応用です。あらゆる問題解決の基本的な知識は既に終わっており、その知識を使って学ぶように作られています。従って、この時期から突然学力が伸びることはあり得ません。また、本格的にテコ入れをする場合は、たとえ中学生であろうとも、小4から始める必要があります。
 以上のことからも分かりますように、小学校低学年での学習の基本は考える力の養成にあります。そして「考える力」は決して問題を解く量で決まるのではなく、深い学習と良質の問題を「ゆっくり、ジックリ、丁寧に」解くことで養成されます。このことを肝に銘じて家庭学習を考えて下さい。そうすれば、無理なく無駄なく効果的な家庭学習方法が見えてくるはずです。
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§8:よい宿題・悪い宿題 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 宿題はやればいいというものではありません。問題は内容です。本来宿題とは、理解度や習熟度に合わせて一人一人違う内容であるべきものなのですが、今では全国的に「教科書の本読み」「漢字の書き取り」「計算ドリル」の3点です。従って、自分の子供にあっていないと思われるときには積極的に変更してもらって下さい。特に上記3点の宿題は良質の宿題とは言えない側面がありますので要注意です。以下に、その理由と改善方法を記しておきます。【目次】【総索引
◆教科書の本読み ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 一見よさそうですが、同じ文ばかり読まされていると何も考えずに(イメージ化することなしに)読み飛ばす習慣だけがつく危険性があります。
<改善方法>…………………………………………………………………………………………… 
教科書が読めるようになったら教科書の代わりに絵本を読んで1回分とします。     
※学校図書を利用すると、図書館も上手く使えるようになります【目次】【総索引
◆漢字の書き取り ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
国語の基本のように思われていますが、漢字の書き取りがキッカケで国語嫌いになる子供が大勢いるので要注意です。また、漢字の場合は、書きを覚えることよりも読みを覚える方が格段に簡単で力もつき、文部省も、読みを優先させるように奨励しているにも拘わらず殆どの学校では一律に読みと書きを平行して覚えさせています。例えば、6年間の漢字の読みは1ヶ月もあれば、小2でも覚えることができます。そして、読みが出来れば何でも読んで吸収することができるのです。全ての学習に通じることですが入力(読み)あっての出力(書き)です。書く事は後でいいのです。
<改善方法>…………………………………………………………………………………………… 
漢字読本の作成(1つの短い物語の中に1学年分の漢字が全て出ている読本)手本漢字練習帳の作成(全てのマスの横に手本の漢字が書いてある漢字練習帳)【目次】【総索引
◆計算ドリル ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 算数の基本のように思われていますが、本当の基本は技を覚えることではありません。どういうときにどんな技を使うべきなのかを判断する思考力をつけることです。また、計算を平均以上に速くすることには大きな問題があります。計算は作業であり、作業と思考は反比例することが分かっています。つまり、高速学習(高速の計算など)は考える習慣を消滅させている可能性があるということです。速くて悪いことはないと思われがちですがあるのです。特に考える力を養成すべき時期に速さを求めてはいけないのです。
<改善方法>……………………………………………………………………………………………
 ちょっと複雑な文章題を「ゆっくり、ジックリ、丁寧に」文章から絵(図)を書いて式を立 てて、正確に計算する(暗算ではなく筆算を記録しておく)。  【目次】【総索引

§9:蔓延する『満点落ちこぼれ現象』━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 小学校低学年(小1〜小3)の時には満点ばかりとっていた子が小学校高学年(小4〜小6)になると、特に原因があるとも思えないのに、次第に落ちこぼれていくという現象が全国で蔓延しています。この現象を『満点落ちこぼ れ現象』といいます。最大の原因は小学校低学年(小1〜小3)での「親子学習」にあるようです。理由は単純です、最も学習習慣が付きやすい小学校低学年(小1〜小3)の時期に学習の最も基本となる「他人に質問する」という習慣をつけることが出来なかったからです。「親子学習」とは先生(他人)に質問しない習慣を付けていることと同じことなのです。習慣には「する習慣」と「しない習慣」があります。「しない習慣」は見えないので意識されない事が多いのですが「する習慣」と同様に意識すべきことなのです。「親子学習」にはくれぐれも注意して下さい。この他には、やはり表面的な理解に止まっていて深い学習を怠った結果、暗記力と計算力で満点をとっていた子供達が高学年で学業不振になっています。「計算を速くする練習をしてはいけない」のです。繰り返しになりますが、小学校低学年ですべきことは計算を速くすることなどではなく、考える問題を通して深い学習をすることです。【目次】【総索引

§10:やってはいけない11の家庭学習方法 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 特に小学校低学年でやってはいけない11の学習方法をまとめて紹介しておきましょう。
目次】【総索引
◆親子学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 高学年で伸びない原因のNo1です。低学年で親子学習をすることの弊害は高学年で必ず必要になってくる「他人である先生に質問して問題を解決していく」という習慣を消し去ってしまうことにあります。つまり、親子学習は先生(他人)に質問しない習慣をつけていることと同じなのです。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
どんなに細かいことでも「連絡帳」や「分からん帳(質問ノート)」を使って先生に教えてもらうようにして、先生に質問する習慣を付ける。→※先生不在の場合(次善策)目次】【総索引
◆宿題学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 宿題には良い宿題と悪い宿題があります。そして、現在では良い宿題を出してくれる先生は数えるほどしかいないのが現状です。もしも、自分の子供の宿題が「おそまつ3点セット」と呼ばれている3点「教科書の本読み」「漢字の書き取り」「計算ドリル」が中心となっているようならば、少し工夫する必要があります。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
「教科書の本読み」は「絵本の本読み」に「漢字の書き取り」は「漢字読本の読み」に「計 算ドリル」は「一日(一週)一題文章題」に変更する。【目次】【総索引
◆準拠学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 国立教育研究所の調査では、現場の先生たちの殆どが(99%以上)が現行教科書に不満を持っています。その現場の先生たちが不満を持っている教科書に完全に沿った学習では、弊害が出るのは当然です。では、なぜ弊害がでるのか、実際に教科書を見ながら検証してみましょう。(算数の単位が分かりやすいので、以下に算数の単位を見ながら説明します)
 教科書では以下の順序で単位が説明されています。
 @(1年上)長さの絵モA(2年上)cm・mmモB(2年下)mモC(3年上)km
 一見、簡単なもの(身の回りの物)から難しいものへと自然に移行しているように見えまが、よく見ると本来は全て関連している単位の構造を無視してバラバラにコマ切れ状態で部分的な説明が加えられています。これでは、バラバラの知識をバラバラに暗記するしか方法はありません。このようにして、理解力で消化すべき部分を暗記力で消化していくと、応用が利かずに、本来は難しくないことまで難しく感じるようになってしまうのです。
 このように、単位一つをみても教科書の内容だけを学習していたのでは、暗記に 頼らざるを得なくなり、混乱を招くことになるのです。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
正しい(深い)学習ができるテキストを使って学習する。【目次】【総索引
◆先行学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 先行学習より潜行学習(深い学習)が大切です。小学校低学年の学習項目は表面的には極端に制限されています。しかし、それは表面的にはということで実は少しでも応用が利くように深い学習をしようとすると時間が足りません。ましてや、表面的なことをマスターしただけで先行学習(高学年の学習)に移ることなどは全くのナンセンスです。小学校低学年の算数の教科書で見てみましょう。低学年の教科書では、計算に関しては何度も教科書の中に復習項目があるので特別な家庭学習をすることもなく理解できる構造になっていますが、その他の項目はかなり簡潔に説明されています。
 ところが、この計算以外のことを深く理解することが高学年で伸びる必要条件となっているのです。例えば、文章を記号化するイメージ力の養成や単位の構造の理解などです。先行学習でツギハギだらけのつながりの見えない知識だけを増やしても、結果は子供に負担をかけるだけで応用力(考える力)をつけることなどできないのです。低学年での学習項目が極端に少ない本当の理由をよく理解して家庭学習に役立てて下さい。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
良質のテキストを使った深い学習を心掛ける。【目次】【総索引
◆垂流学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 やってる割には思うような結果にならないという声をよく耳にしますが原因の98%以上が「タレナガシ学習」です。<●問題集をするモ●答え合わせをするモ●復習する>で終わってしまっている人は「垂流学習」をしていると言っていいでしょう。効果的な学習とは間違った問題を記録しておき3ヶ月〜1年後に再度復習して理解できているかどうかを確 認することが基本中の基本です。つまり、その場だけの理解の確認ではなく理解の定着の確認が必要なのです。
 そして、この理解の定着が実力なのです。多くの人は1度間違った問題は、また間違います。ですから、間違った問題を直ぐに復習して理解したと思い込み、復習する機会をなくしていては実力の伸びはないのです。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
「分からん帳」を作る。【目次】【総索引
◆高速学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 速くて悪いことはないと思っている人が大勢いらっしゃいますが、速くてはいけないこともあるのです。特に、考える力を養成すべき時期には速さは大敵となるのです。「作業と思考は反比例する」ということをご存知でしょうか。例えば、単純作業を速くやろうとする場合を考えてみて下さい。単純作業を速くやるには何も考えないで作業に没頭する必要があります。また、速い作業をしている時に何かを考えようとしても考えられません。つまり、速い作業は考えることを妨害する作用があるということです。この基本的な作用を頭においたうえで小学校低学年の家庭学習の方法を見直すと、高学年で伸びる子供・考える力のある子供の育て方が自然に分かると思います。小学校低学年の時にしなければいけないことは「考える力」と「正しい家庭学習の習慣」を身につけることです。そして「考える力」を養成するためには、できるだけ条件反射の養成となる高速の機会的反復作業をしないことです。具体的には計算等でスピードを競うことは最もいけないことです。スピードをつけることはいつでもできますが、ゆっくりジックリ丁寧に考えるという習慣はなかなかつかないものです。 さらに、考える力のない子は小4からの抽象概念の世界を理解すること自体が難しくなりますので、全教科で落ちこぼれる可能性が出て来ます。また「分かる」と「できる」とは必ずしも一致していないことも知っておくべきです。手順をまねて答えを出しているだけの「できる」では、いつまでたっても「わかる」状態にはなりません。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
「一日(一週)一題文章題」を実行する。※「どんぐり倶楽部」の文章題教室で実践中!
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◆圧縮学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 一定量の問題を消化しさえすればいいと思っている人がいますが大間違いです。確かに、小学校低学年の問題は1週間分を1日(人によっては1ヶ月分を1日)で消化することも可能です。ですが、それは絶対にやってはいけないことなのです。小学校低学年ですべきことは「考える力」と高学年でも通じる「正しい家庭学習の習慣」を身につけることです。そして、高学年でも通じる「正しい家庭学習の習慣」の一つは、毎日学習することです。ですから、量としては
 1日でできることでも7日あるいは5日に分けて学習することが大切なのです。なぜならば、低学年で週に1日しか勉強しない習慣が付いてしまうと、高学年になって難しくなったからといって週に5日勉強するようには絶対になりません。ところが、低学年の時から週に5日勉強する習慣を持っている子は、高学年の学習量に対応した家庭学習が可能になるのです。簡単な学習内容でも毎日できない子が難しい学習内容を毎日できるわけがありません。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
少ない量でいいから、毎日「ゆっくりジックリ丁寧に」学習する。【目次】【総索引
◆放任学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 学校にお任せ・塾にお任せ・家庭教師にお任せ・参考書にお任せ、はいけません。大切なのは、何をしているかではなくて、どのようにしているかです。そのためには、どういうふうに学習しているかがわかる仕組みを学習の中に組み込む必要があります。
 最も効果的なものは添削ノートです。添削されたノートを見れば子供の理解度・教師の力量・進み具合など全てのことが明確に分かります。逆に、添削ノートに代わるものがなければ、正しい学習状況の判断はできないということです。テストで分かることはごく一部分のことです。学習の内容が分かるような手法を導入して下さい。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
「分からん帳」を提出する。【目次】【総索引
◆点数学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 正しい学習をしていると自然に点数が気にならなくなります。点数主義が悪いということではありませんが、欠点が多いのです。問題は捉え方・利用の仕方です。つまり、適切な後処理をすれば何点であろうと、点数が気にならなくなるうえに学習意欲が沸くのです。最も効果的な学習(正しい学習)は「自分の分かっていないところを見つけて、理解できるまで先生に質問する」ことです。ならば、何点であろうともキチンと間違った部分を「分からん帳」に抜き取って、先生に提出すれば何の苦労もなく完璧な学習ができるわけです。点数とは単に「分からん帳」に入れる問題が多いか少ないかを示すインジケーターに過ぎないのです。点数で一喜一憂するのは、文字通りナンセンス(意味のないこと)なのです。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
点数に関係なく「分からん帳」を作る。【目次】【総索引
◆自学自習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 自学自習とは誰もが目指す究極の学習方法です。究極の学習方法ですから簡単にできるわけがありません。少なくとも小・中学生にできる方法ではないのです。本来の自学自習とは専門的な研究活動ができる施設・頭脳・方法を持った人だけができる方法なのです。にもかかわらず「詳しい解答解説があれば一人でも勉強できる/一人で勉強することが自学自習だ」と思っている親が大勢いますが、大間違いです。参考書を読んで分かる子は、学習内容が既に分かっている子です。あるいは、読解力・思考力が優れている子です。参考書は専門家が書いたものです、しかも、その参考書は、子供のレベルの言葉で書かれてはいないのです。そんな参考書をいくら読んでも分からないのは当たり前なのです。子供の言語レベルは一人一人異なっています。そんな子供達に対応できる参考書などないのです。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
先生と「分からん帳」のやりとりをする中で、自分の言葉のレベルでの説明になるまで「分からん帳」の提出を繰り返して自分だけの参考書を作り上げる。【目次】【総索引
◆早期教育 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 一般に行われている早期教育は単なる先行学習であることが殆どです。発達の一般定理という法則でも明らかな様に、小3までの知識は工夫次第で就学前に習得することは比較的簡単なのです。しかしながら、結果はよくありません。理由は学習時期と学習内容のミスマッチです。早期教育で学習する内容自体は悪くはないのですがタイミングがズレているので、本来習得すべき学習内容(考える力)が欠落したままでの応用の利かない知識の集積になってしまっているのです。これでは、高学年での伸びは期待できません。早期教育の結果が芳しくないのもこれが原因と考えられています。最も重要なのは、自然な頭の発達に即した正しい時期に正しい学習内容を習得させることです。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
先行学習などではなく、良質の問題を通して自然な発達に即した深い学習をする。
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New(2002年)
※質問が多かったので新しく追加しました。
§10-2:校外学習と保護者の関わり方(塾・家庭教師・親子学習などの次善策の注意点)
 これまでの話でおわかりのように、親(身内)が自分の子供に教えることの最大の欠点は、
他人である先生に質問できなくなること、つまりは、最も効果的な学習方法であるQ&A方式
を身につけることが出来なからに他なりませんでした。それでも、実際にはキチンと応えて
くれるだけの力量を持った先生が身の回りに何人いるかは疑問です。
そこで、次善の策としての「塾」「家庭学習」「親子学習」の注意点を書いておきます。

〜校外学習と保護者の関わり方(基本は今までと全く同じ)〜

●Point→どんな場合でも、子供の将来(自立)を考え、質問する力の養成に主眼を置く。
    また、質問さえキチンとできれば効果的で迅速な消化が可能であることを実感させる。
●共通点→何をしているかではなく、どういうふうにしているかを見ること!
●実践方法
「塾」:   1.テキストへの書き込み・ノートの内容を確認
       2.まとめテストを利用して定着率の確認
       3.「分からん帳」作成
        ※ココで質問の記録を残しておくことが大切!
       4.先生に提出して添削を受ける
        ※やってもらえなければ保護者が添削する(ただし、必ずノートで分からせる)
       5.「わからん帳」だけを定期的に復習する 
        ※疑問が出てきたら同じ部分でも必ず再度質問する(これが大切!)

「家庭教師」:1.進度表を作ってもらう。
       2.予習をして置いて、自力で解けなかった問題だけを中心に教えて貰う。
       3.復習時に少しでも納得できない部分は「わからん帳」に入れて次回に聞く。
        ※質問の書き方がキチンとできているかを見てあげる。
       4.「わからん帳」だけを定期的に復習する 
        ※疑問が出てきたら同じ部分でも必ず再度質問する(これが大切!)
         
「親子学習」:1.問題集のまとめテストを利用して定着率の確認
       2.「分からん帳」作成
        ※ココで口頭ではなく質問の記録を残しておくことが大切!
        ※質問の仕方・書き方を教える!!!!
       3.保護者が添削する(ただし、必ずノートで分からせる)
        ※学校の先生に頼めれば先生を活用してもいいでしょう。
       4.「わからん帳」だけを定期的に復習する 
        ※疑問が出てきたら同じ部分でも必ず再度質問する(これが大切!)

●以上、次善策の対応パターンです。

§11:伸びる子供の共通 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 伸びる子供には共通点があります。「考える力」と「先生に質問する力」がある子です。処理能力の速さや知識量は関係ありません。小学校低学年で評価されがちな計算の速さや脈絡のない多量の知識(漢字の書き取り等)は関係ないということです。高学年でも伸びる子に育てるには、小学校低学年で「考える力」と「先生に質問する力」の養成をすることです。速さや知識の養成は高学年で十分なのです。
 反対に伸びない子供の共通点は「考える力がないこと」と「先生に質問する力がないこと」です。速さを求めると思考力が育ちません。親が質問に答えると先生に質問する必要がなくなります。速さを求めることと親子学習が伸びない子供を育てるのです。ですから、特に小学校低学年では「考える力」と「先生に質問する力」の養成に時間をかけなくてはいけないのです。
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§12:食べ方よりも捕り方を教える ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ノルウェーに「子供に1匹の魚を与えると1日生きることができる。しかし、魚の捕り方を教えると一生食べることに困らない」という諺があります。勉強にも同じことが言えます。一つ一つの問題の解き方ではなくて効果的な学習方法そのものを教えることが最優先されるべきことなのです。もちろん「分からん帳」を使った学習方法が魚の捕り方です。【目次】【総索引

§13:誰でもできる効果的な学習方法 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 効果的な学習方法とは、自分の弱点となっている項目の問題を集めて先生に質問して解消することです。単に問題の量をこなしたり、分からないことを自分だけで調べようとしては、せっかくの努力も報われません。また、いくら効果的な学習方法でも簡単でなければ続きません。だから「分からん帳」なのです。「分からん帳」を使えば何の苦労もなく自分の弱点となっている 項目の問題を日々最新の状態で集めることができます。また、先生への質問も、問題そのものを入れてあるので具体的な添削指導をしてもらえます。切って貼るだけの方法で効果があるのか疑問に思う人もいますが、 弱点項目の収集は単なる作業です。作業は簡単な方がいいのです。切って貼るという方法以上に簡単な方法はありません。
 また、先生に質問することが苦手な子でもノートを提出するだけでいいのですから、これ以上に誰にでも対応できる学習方法はないでしょう。保護者から先生に「質問ノートを作った様ですので、よろしくお願いします」と一言頼んでおくと効果抜群です。さらに、弱点が具体的な形で解けなかった問題として最新の状態で記録され続けますから「分からん帳」以外の問題集をする必要がないことも、この学習方法の優れているところです。【目次】【総索引

§14:やる気と学力 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 やる気は出ます。出るには出ますが、遅すぎる場合が殆どです。多くは、いつ出るか分からないし、出て欲しい時にはなかなか出てくれません。また、一瞬出たかと思うと消えてしまったり本番直前だったりと「やる気になっている時」は実に短く実にタイミングが悪いことが殆どです。ですから「やる気が出たら・・・」を期待して勉強を進めていては必ず失敗します。また、準備が整っていないと、せっかくやる気が出ても空回りして、なかなか結果につながらず、成果が出る前に諦めてしまいます。そこで、やる気が出た時の準備にもなり、かつ、やる気がない時でも効果を発揮できる学習方法を知っておく必要があります。何を隠そう、これも「分からん帳」です。この「分からん帳」を活用すれば、やる気のない時には「分からん帳」を作る作業をし、やる気のある時に消化していくという効果的な学習が可能になるのです。【目次】【総索引

§15:塾に行かずに高校受験 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 現在、殆どの人が学校の補習・進路指導を塾に依存しています。確かに、公立の中学校では満足な補習を受けることは難しいし、十分な進路指導はできない状態にあります。ですが、どちらも工夫次第で一気に解決できます。まず、補習の受け方ですが、最も効果的な補習とは個人指導を受けることです。塾でもなかなか個人指導までは受けられません。ところが、「分からん帳」を提出するだけで完全個人指導が受けられます。次に、進路指導ですが、学校で十分な進路指導が受けられない理由は正確なデータがないからです。
ならば、正確なデータを持って行けばいいのです。データは個人でも集められます。自分で業者テストを受ければいいのです。そして、その結果を持って学校で相談すればいいのです。
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§16:高校入試のABC ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 「朱に交われば赤くなる/人間は環境の動物である/人間に最も影響を与える環境は人間である」様々な言い方がありますが、いずれにしても環境の善し悪しで子供の将来は大きく変わるということです。特に、最も敏感な自己確立の時期となる高校生の時期に大部分の時間を過ごす高校という場は、人生で最も大きな影響を受ける場です。ですから、ただ単に自分の学力で行ける高校に行くという安易な考えは危険だと考えて下さい。さらに、公立高校のランクは頭の善し悪しではなく、努力と工夫のランクだと認識すべきです。入試については、全ての受験生が入試の全ての答えを手元に持っていて(教科書以外からは出ない)、与えられた時間は同じ(3年間)なのです。ならば努力と工夫が高校のランクを決めているとしか言えません。努力と工 夫をした人間が集まっている順番が高校のランクなんだと考えて下さい。素晴らしい努力と工夫をした子供達の中で3年間毎日生活した子供と何の努力や工夫もしなかった子供達の中で3年間毎日生活した子供との間には、計り知れない差が生まれます。当然の事です。人生の最大の岐路と考えて下さい。
 また、保護者にしてみれば高校選択までが親の責任と考えていいでしょう。つまり、子育ての総仕上げです。手を抜かずに出来るだけのことはしてあげて下さい。
また、高校のランクではなく、高校そのものを知りたい時には、文化祭を見に行くとその高校がよく分かります。子供達の生活態度や先輩とのかかわりあいなども見れるでしょう。親子で見学に行かれてはどうでしょうか。
 高校中退が十二万人を突破している今「入学できれば、どの高校でもいい」では通じません。そこで本当の合否判定方法を知ったうえで 高校を選んでもらいたいと思います。
 受験情報誌などに出ている合否判定方法の説明を詳しく読むと分かりますが、基準は各高校でかなり違っているのが現状です。基本的な考え方としては学力(入試点)と内申点の比率を「トップ高校は授業についてこれる学力を重視するので学力9内申1」「中堅高校は学力7内申3」「底辺高校は学力5内5」と思っていれば間違いないでしょう。さらに、各高校では、ほぼ同レベルの生徒が受験するのですから内申点での差は殆どつかないのが現実です。従って、内申書は受験資格を保証するだけのものと考えると分かりやすいでしょう。(もちろん内申書の内容に関係なく、希望すればどの高校でも受験することは可能)
 最後に三者面談・進路指導についての注意点を述べておきます。面談は9月〜12月ですが、学力の伸びは12月〜3月です。ですから、面談で受験高校を決めるときには、学校側が考えている滑り止め高校は受験する代わりに受けたいところを受けさせて下さいということで話を進めるといいでしょう。また、私立に関しては受験日が同じでも願書は複数出す事ができるのですから、実際に受験する私立高校は受験当日まで保留していてもいいことになります。【目次】【総索引

§17:習い事の落とし穴 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 何のために習い事に行かせているのでしょう。習い事に行くことを嫌がっているときに無理やりに行かせたりしていませんか。
 例えば「描くこと・演奏すること」を本当に習得するには「描く技術・演奏する技術」が絶対条件なのではなくて「描きたいもの・演奏したいもの」が豊かに育つことが絶対条件です。技があっても味覚がなければ一流のコックにはなれないのと同じです。特に習い始めのころは技を習得することではなく、豊かな内面を作り上げるために味わうことが大切です。「素晴らしい絵を見ること。素晴らしい演奏を聞くこと」つまり、味わうことを最優先させなければいけないということです。上手な絵と素晴らしい絵とは違うこと、上手な演奏と素晴らしい演奏とは違うことを体験させる必要があるということです。また、習い事が忙しくて勉強できないという人が時々いますが、これもまた本末転倒しています。親鳥が小鳥に泳げるからお前は飛べなくてもいいよと言うようなものです。深い楽しみを知っていれば、練習を苦労とは感じません。練習を苦労と感じる場合は楽しむ体験が不足しているということです。練習を強要するのではなく、楽しく味わう機会を作ってあげてみてはどうでしょうか。【目次】【総索引

§18:学習の第1法則・第2法則 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 <第1法則:入力なければ出力なし><第2法則:消化なければ全てなし>
情報の渦の中で、この当たり前のことが忘れられているようです。特に、第2法則は、現在の的外れな教育を診断する時の基準になりますので忘れないようにして下さい。入力は知識、消化力は思考力、出力は成績と考えてい いでしょう。そこで、第2法則「消化なければ全てなし」を「思考力なければ全てなし」と書き換えるとよく分かります。つまり、本格的な知識の入力をしなければいけない小学校高学年(小4〜)になる前に消化力となる思考力を十分に付けておかなければ、どんなに多量の知識を入力しても結果にはつ ながらないということです。逆に、消化力(思考力)が付いてしまえば知識を吸収する速度は加速度的に速くなりますので、知識の入力が多少遅れても慌てる必要はありません。分かりやすい様に小・中の学年で考えると「思考力を付ける小1〜小3」「知識を入力する小4〜小6」「結果を出力する中1〜中3」となります。その中でも最も重要なのは当然のことながら「思考力を付ける小1〜小3」です。ゆっくりジックリ丁寧な学習を心掛けましょう。【目次】【総索引

§19:頭の健康診断 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 どんぐり倶楽部で年に3回実施している「頭の健康診断」とは、単なる表面的な学力を調べる診断テストではなく、頭の自然な発達に沿った学力が健全に成長しているかどうかを診断するものです。診断表の総評では今後 の学力の伸びを予測して、現在の学習状況への的確なアドバイスをします。素晴らしい成果を得るための全ての基本は現状分析です。現状分析無くして改善策は絶対に見つかりません。また、自然な発達がなされていることが分かれば必要以上の学習を要求する必要はなくなります。いずれにしても定期的に頭の健康診断を受けることは体の定期健康診断と同様に考えるべきものです。【目次】【総索引

§20:「分からん帳」作成講座※別紙参照 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 「分からん帳」の詳しい作り方や使い方は、別紙に書いてありますので参照して下さい。ここでは「分からん帳」が生まれた理由と「分からん帳」の効用を説明します。
 分からん帳は「間違った問題はまた間違える」という当然のことに対する防衛策から出たものです。学習不振に陥る最大の理由は、学習内容が定着していないのに先に進んでしまい、最終的には雪だるま式に分からないことが山積みされてしまうということにあります。そして、この原因は間違った問題はその場で復習するだけで、時間をおいて復習するということがないからです。従って、本当には定着していない学習内容 が何なのかが分からないようになってしまうのです。逆に考えると、本当には定着していない学習内容が何なのかが分かるようにしておけば、いつでも対策はとれるということです。そして、本当には定着していない学習内容とは「一度間違った問題」にほかならないのですから、この「一度間違った問題」を集めておけばいいわけです。この「一度間違った問題」ばかりを集めたものが「分からん帳」です。つまり「分からん帳」には定着していない学習内容が具体的な問題形式で全て入っているということです。つまり「分からん帳」は自動的に世界で唯一つの「個人別弱点補強問題集」となるのです。「分からん帳」の効用はたくさんありますが「簡単・便利・効果的」の三拍子が揃っているところが最大の魅力です。まず、切って貼るだけの作業で作れるのですから、ハサミを使える年齢から簡単に作れます。
 また、全教科で同じような学習方法がとれますので便利です。さらに、自分の弱点だけが詰まった問題集となりますので、効果的な学習ができます。他の効用については別紙で詳しく説明してあります。【目次】【総索引

§21:理想的なテキスト ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 理想的なテキストとは、教科書の進度に合わせてありながらも、高学年での応用が利ように深い学習ができる系統的な解説があり、良質の問題が厳選されているテキストです。さらに、構造的には片面印刷のみのプリント形式ならば、そのまま「分からん帳」を作ることができますので最適です。【目次】【総索引

§22:学習の基本をもう一度 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 「慌てず・焦らず・諦めず。ゆっくり・ジックリ・丁寧に」
  これが、学習の基本です。特に小学校低学年の時期には守って欲しい基本です。

●慌てず・・・・・早く始めればいいというものではない・・・正しい時期
●焦らず・・・・・速く終わればいいというものではない・・・正しい速度
●諦めず・・・・・成果が直ぐに出ると思ってはいけない・・・正しい時間
●ゆっくり・・・・時間に関係なくゆっくり
●ジックリ・・・・深くジックリ考える
●丁寧に・・・・・書く時は丁寧に
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<おわりに>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 西洋医学と東洋医学には決定的な違いがあります。西洋医学は対処療法であり東洋医学は体質改善療法です。対処療法とは、悪くなった部分を改善する方法(多くは除去すること)で、体質改善療法とは、悪くならないように体質自体を改善する方法、あるいは悪くなった部分を本来の健全な状態に戻す方法です。表面的には対処療法が効果的に見えますが本質的な治療でないことは明らかです。その点、体質改善療法は本質的な治療を可能とします。「どんぐり倶楽部」が目指すものは、まさに学習面での体質改善療法です。本質的な治療を通して「健全な子供を育てる」お手伝いができればと考えて います。【目次】【総索引

※「どんぐり倶楽部」では以下のサポートをしています。ご気軽にお問い合わせ下さい。

 「保護者のための教育講演会」モこの本の内容を中心とした保護者向けの講演会
               モ会場の用意をしていただければ人数に関係なく講演可能
 「分からん帳作成講座」   モ実際に「分からん帳」を子供達に作ってもらう講座
 「頭の健康診断」      モ教科書の問題で正しい学力チェックをするテスト問題
 「One Zemi」         モ保護者主宰で開催されている学習教室(高校入試まで)
 「EHD」          モ個別の学習アドバイスを中心とした学習サポート
 「FAX文章題教室」     モ算数の文章題の指導をFAXで行う学習サポート

(連絡先)FAX専用(24時間対応):020-4623-6654
      e-mail:donguriclub@mac.com
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§目で考える: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 文章を頭の中で全てイメージ化して考えるには相当の力を必要としますが、文章を
 絵・図として記号化すれば、目を使うことでほんの少しの力で速く正確に処理することが
 できます。つまり、頭の外に処理装置をもっていることになるわけです。
 イメージ化できて解けない問題はありません。
§設問解釈:━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 設問がどういう答えを求めているのかを知るための学習を設問解釈と言います。
 実は、学習不振の原因の一つはこの設問解釈の授業をしていないことにあります。
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〜最も重要な教育理論〜★★★言葉のトリガー理論★★★