総索引】【分かる・考える・判断する

*言葉で考えてると思っていたら大間違いだよ*
*良質の算数文章問題を解いている子供達の場合
小3の子が中学受験や高校受験の図形問題や
理科の計算で重要な「等比」の考えを自分で
ヒントをもらわずに考え出しています。

3MX01(小3)1MX88(小1)

「読める」とは発音できると言うこと
「分かる」とは発音からイメージしたものを見ることが出来ると言うこと
「考える」とはイメージしたものを頭の中で移動変形させることが出来ると言うこと
※頭の中でのイメージの移動変形は、人間が出来る最速の反応です。
ですから、時間的にはゆっくり考えていても実際に処理されている内容(イメージの移動変形)は複雑で多様です。
そして、これらのイメージの移動変形の中から状況にあった(設問にあった)解決方法(答え)を選択するのです。
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●人間の思考過程は上記のようになっています。ところが、多くの人は言葉を知っていれば「分かる」と思い込んでいます。
 ですから、いつまでたっても考える力の養成ができないのです。
●人はイメージで考えているのに、伝達手段の中心は言葉となっています。そこで、言葉そのもので伝えたいことが伝わると勘違いしているのです。ところが、実は言葉はイメージを導くキッカケでしかありません。ですから、このこと(言葉のトリガー理論)に気付かない限り、「伝える力・理解する力・考える力」を養成することはできないのです。つまり、「言葉のトリガー理論」を知らなければ「正しい教育」はできない(不可能である)ということです。
 このことは小学生にでも15分もあれば理解させることが出来ます。先日行ったフジテレビの依頼による公開授業の様子を下記に載せておきますので参考にして下さい。
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「リンゴとリンコ」
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私 :リンゴとリンコって分かりますか?
生徒:???
私 :リンゴは分かりますが、リンコは分かりませんね。どうして分からないのかな?読めるよね。発音できるよね。なのに、どうして分からないのかな。では、リンコをリンゴの隣で口を閉じて微笑んでいるお魚さんだとします。さて、リンゴとリンコって分かりますか?……分かりますね。
生徒:うん。
私 :どうしてでしょう。ついさっきまで分からなかったことが、今は分かっていますね。どうしてでしょうか。
生徒:教えてもらったから。
生徒:説明してもらったから。
生徒:言葉の意味が分かったから。
生徒:今は知ってるから。
私 :うん、そうだね。じゃあ、今、みんなが言ったことはどういうことかな?
生徒:?……。
私 :イメージできるようになったということですね。言葉からイメージを引っ張ってきて頭の中で見ることができるようになったからだね。『見える=分かる』なんだねぇ。では、見えたものを描いておきましょう。

(※リンゴとリンコの絵)

私 :この分かったことを描いておくということが大事なんですよ。どうしてかというと、この分かったことを使って『考える』からです。今は2つだけですから絵を描いておかなくても大丈夫でしょうが、どんな場合にでも考えられるように必ず絵を描くようにします。描いたかな?
生徒:もうちょっと。
生徒:描いた。
私 :はい、じゃあ今度は目を閉じて。リンゴとリンコが見えますか?
生徒:はい。
私 :では、聞きますよ。リンゴとリンコって分かりますか?
全員:は〜い。
私 :どうしてかな?
全員:見えるからです。頭の中で絵が。
私 :そう!『見える』と『分かる』って同じ事なんだね。
生徒:え?あ、そうか。うん、そうだね。
私 :さて、目を開けて。この絵を見てね。今度は『考える』とはどういうことかを体験するよ。
生徒:考える?
私 :そう、考える。『考える』ってどういうことだろう。
生徒:どういうって、考えるってのは考えることじゃないの?
私 :じゃあ、聞くよ。絵を見てるんだよ。リンコがリンゴを食べるには、どうすればいいでしょうか?この絵を見て、この絵を見て。
生徒:口を開ければいいんじゃないの?
私 :その通り!
生徒:何だ簡単じゃない。
私 :そう。とっても簡単なんだ。でも、それが『考える』ってこと。いいかい。今、ココに描いてある絵を見ながら、その絵を変形させてどうすれば問題が解決できるか、つまりリンコがリンゴを食べることができるか答えを見つけただろ?それが『考える』ってことなんだなぁ。絵にしてみるね。
(※リンコがリンゴを食べる絵)

私 :こんな感じかな。いいかい、今みんなは、頭の中で絵を動かしたんだね。イメージを変形させたんだね。このこと、つまり、頭の中でイメージを変形させることが『考える』ってことなんだ。だから、考えるって事がイメージを変形させることって分かれば誰にでも簡単にできるんだなぁ。だから考える力のない人なんていないんだよ。誰にだってできることなんだよ。しかも、どんな勉強でも同じなんだ。考える方法はこれだけ。<後略>
●「リンゴとリンコ」で「リンゴを細く切れば口を開けなくても食べられるね」と言う子がいる。普通の子だ。だが、この発想はアルキメデスの「取り尽くし法」と呼ばれる後に数学の微分・積分に発展する考え方と同じである。視考力の力はこんなところでも確認できる。
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※「分かる」とはどういうことか、「考える」とはどういうことか、教え方次第で、小学生にでも15分位で分かってもらえます。ところが、教育者でありながら、このことを知らない人が大勢いるようです。勉強不足の極みだと思います。このことが分かっていないから「考える力」を育てられないのです。
 問題を「理解して解く」とは、具体的には「文章を絵図にした後で求められている形に絵図を変形させる」ということです。言葉(文章や音声)はイメージの説明をしているにすぎません。つまり、言葉で考えているのではないということです。
 「突然思いつく」とか「ヒラメク」とか言うことがありますが、これは頭の中で絶えず変形させ続けていたイメージが求めていたイメージに一致したということです。考えていなかったわけではないのです。言葉ではなくイメージを変形させるという最もエネルギーを効率的に使う(ラクな)方法で考えていたので、意識しないで考え続けられたのです。
 また、飲み込みが早いとか吸収力があるとか理解力が高いなどということもありますが、これらは全て「言葉を的確にイメージ化できる」ということです。イメージ化すれば見えます。見えるとは分かることです。ですから、言葉のイメージ化=理解力となるのです。
 私たちは言葉を多用しますから「言葉→イメージ化→理解」となりますが、言葉の無い世界では「イメージ化→理解」となります。理解する原理は全て同じなのです。ですから、イメージ化できれば、言葉が無くても「理解すること」も「考えること」もできるのです。
 人は、言葉を使えるから優れていると思っている人もいますが、そうではありません。動物にも言葉はあります。人間が優れているのは記録することができるからです。そして、その記録には絵図と言葉(文字・音声)を使うのです。

<注意>
●イメージ操作が大切だからといって言葉から離れてブロック遊びやパズルに走ってはいけません。大切なことは常に言葉とイメージを行き来しながらイメージ思考する力(視考力)を養成することです。
 良質の算数文章問題は<言葉→イメージ→イメージ変形→イメージ変形の流れを数式化>を毎回練習できます。ですから「考える力の養成には、良質の算数文章問題が最適」なのです。
 算数の文章問題を、単に計算の応用などと思っているようでは学力は育てられません。
●以上のことが分かると考える力の育て方も分かります。→
サンプル

<三角計算・トライアングルナンバーズが重要な理由>
 三角計算はイメージを使って計算をする方法です。つまり、計算でありながらも「考える力」の基となるイメージを操作する練習ができるということです。算数の入り口でこの三角計算を使うことで私たちは考える準備を無理なく自然に整えることが出来るのです。 →三角計算
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<国語も算数も使う力は同じです、使い方を少し変えるだけです>
●国語的内容とは「視覚イメージの流れ:複数の視覚イメージを細部に注意することなく流している」細部に注意しないことで流れを意識しやすくなるのです。「内容」と呼ばれているのは「流れ」のことです。
●算数的内容とは「視覚イメージの細部:単数の視覚イメージを細部に注意して見ている」
●使う能力(視覚イメージの再現と操作)は同じですが注意すべきポイントが違うのにポイントのシフトをしていないからです。ギアチェンジをしないで山道と高速道路を走ろうとしているから効果が現れないのです。

学習の原点→「絶対学力」の書評