そして、この140億個の細胞を働かせれば頭が働いていると単純に思っている人が大勢います。 大間違いです。これでは、いつまでたっても人間本来の深い思考はできません。キーポイントは1000億個の小脳皮質の細胞です。司令塔を走らせて喜んでいては健全なチームは絶対に育ちません。 ●小脳皮質は1000億個の神経細胞を持っています。さらに、小脳は大脳の思考回路を写し取ることが分かっています。つまり、人間には140億個の司令塔(お手本を示しプレイヤーを育てる役目も持っている)と1000億個の俊敏なプレイヤーが内在しているということです。もちろん全てを使っているわけではありませんので大脳細胞5%、小脳細胞7%を使っているとしましょう。全体から見ると微々たるものですが使い方を知らないと思考力養成とは全く縁のない無駄なことばかりをすることになります。 ※幼児期にスピードと知識量を求めてはいけない理由です。「覚えがいいから・反応がいいから」は早期教育や先行学習の理由にはならないのです。スピードと知識量は司令塔とプレイヤーの関係が出来上がった(永久脳を育て上げた)後ですべきことだからです。乳脳を鍛えても、それは攻撃にしかならないのです。痛めつけているだけなのです。 ● 140億の5%→7人(人と考えます) ● 1000億の7%→70人(人と考えます) つまり、私たちは1人の司令塔に対して10人のプレイヤーを持っているということです。 部下が10人もいたら色んなことができますね。しかも、よく教え込まれた部下がいたら司令塔は自分で駆け回る(無駄に活性化する)必要はないでしょう。もちろん、大脳細胞が司令塔、小脳細胞がプレイヤーです。この効率的な関係を作れるかどうかの時期が「9歳の壁」と私が呼んでいる時期です。具象思考から抽象思考への思考形態の変化という表現もしますが、脳の役割分担が劇的に変化するということです。変化前の思考形態を乳脳、変化後の思考形態を永久脳と呼んで乳歯と永久歯の関係のように考えてもいいと思います。この変化は邪魔さえしなければ6〜12歳の間で自然に移り変わっていきます。 ●ところが、この構造を知らずにいると司令塔となるべき人をいつまでもプレイヤーとして使い続けることになります。確かに反応は速いし処理も的確です。プレイヤーの「お手本」となるべき人ですから、当然です。ですが、10人では直ぐに限界がきます。どんなに鍛えても開発しても使用数を増加させても限界で140億です。つまり、この10人は鍛えるべき人ではなくプレーヤーに「お手本」を見せる人として扱うべきなのです。 ●さらに、小脳の「写し取り」には「快」=「主体的欲求(知識欲・理科意欲)」が潤滑油の働きをします。ですから、自分が好きなことや興味のあることは覚えも早いし苦労しなくても覚えてしまうのです。小学校の授業が楽しくなければいけない理由の一つです。また「できる」ではなく「分かる」ことが格段に重要な理由です。 <続く> …………………………………………………………………………………………… 参考→「分かる」ということ・「考える」ということ・「判断する」ということ …………………………………………………………………………………………… 参考:→★小脳の働き1★ 参考:→★小脳の働き2★ …………………………………………………………………………………………… <重要:発育の大原則>→★★★ |