■pralidoxime iodide(通称はパム:PAM)は、有機リン剤中毒の特効薬(解毒剤)である。
1995年の地下鉄サリン事件では、600人以上の被害者の命を救った。
聖路加国際病院での救護活動はプロジェクトX〜挑戦者たち〜「地下鉄サリン救急医療チーム 最後の決断」で取り上げられた。
■有機リン剤は、神経の化学伝達物質であるアセチルコリンの分解酵素、コリンエステラーゼ (ChE)の酵素活性中心に結合することで、本来のアセチルコリン分解作用を失活させる。
そのことにより増長したアセチルコリンの作用が意識障害、徐脈、血圧低下、縮瞳などの中毒症状を引き起こす。
PAMは、酵素活性中心に結合した有機リン剤を切断解離させる作用をもち、その結果、ChEの活性を回復させるので、有機リン剤に対する解毒作用をあらわす。
ただし、有機リン剤がコリンエステラーゼに結合して
一定時間がたつと、エイジングとよばれる不可逆変化が起こり、薬パム(PAM)が効かなくなる。
たとえば、サリンの1/2エイジング時間は約5時間なので、浴びてから5時間以内に投与しなければ手遅れとなる。
■用法用量も守らなければ、効果が出ないのには理由があるのだ。
■アル中の治療の共通事項は「断酒」なのに、少しぐらいならいいでしょう、って思う?