「九九」を全段覚えるのはただの習慣で、不要なことです。右利きの人が、わざわざ訓練して左手も自由に使えるようにしなくてはいけないことなどないのです。また、左利きの人が、わざわざ訓練して右手も自由に使えるようにしなくてはいけないこともないのです。「両方同じように使える方がいいに決まっているから、両方訓練しなくてはいけない」という人は実際に生活をしたことがない人です。 もちろん、「九九の暗唱」は重要事項です。それは、音声がイメージを導くからです。しかし、「三角計算」のイメージが浮かべば「九九」は三六個でいいんです。なぜなら、反対の「九九」(大×小)は見えてしまうからです。ただし、小学校ではみんなが「九九の暗唱」を全段します。だったら、「九九の暗唱」は歌だと思って覚えればいいんです。半分は忘れてもいいけれど、歌のように覚えるということです。このように、「九九」を全段覚えることは負担になるだけですから、その時間を使って筆算の構造を理解したほうが百倍も力になります。間違っても暗算に走ってはいけません。 さらに、「三角計算」は加減乗除+分数+約分+イメージトレーニングのすべてを同時に練習することができるのです。また、「三角計算」は視覚イメージを利用するため瞬間的に反応できますから、スピード養成の弊害もありません。しかも、考える素となるイメージ化の練習にもなっているので、考える訓練にもなります。「三角計算」は基礎計算力の養成と同時に、考える力の養成もしているのです。 今まで行われてきた基礎計算練習とは、「九九」をいかに高速で思い出せるかという練習でしかありませんでした。これでは翼をつけずにプロペラだけをフル回転させている飛行機のようなものです。動きはしますが、決して飛ぶことはできません。空を飛ぶには翼が必要なのです。また、翼があればプロペラをフル回転させる必要はないのです。いつもフル回転させられているエンジンは疲労し、焼けついてしまい、ついには壊れてしまいます。「九九が高速でできる」ということと、「三角計算をイメージできる」ということの間には雲泥の差があるのです。 2×6=12は二年生で習います。ところが12÷6=2は五年生です。そして、2×6=12と12÷6=2の関係については何も意識できません。ところが、2×6=12を「三角計算」で使えるようにすると、すでに小二で12÷6=2や12÷2=6(分数や約分も)を見ていることになります。つまり、12÷6=2を教わる五年生までのまるまる三年間も見続けていることになるのです。この配置を覚えられない子は一人もいません。このように何の苦労もなく応用がきくところが「三角計算」のすごさなのです。 …………………………………………………………………………………………… ●利用者の声1●〜計算が苦手な子供でも大丈夫〜 先生の著作「絶対学力」を読ませて頂き、夏休み、三角計算の足し算引き算をさせました。(本を見て、毎日手作りしました。)授業がまったく分からず、泣いていた娘が、夏休み後半には自分から進んでするようになり、5+5=10だから、10-5=5になるんだねと、自分で笑顔で話せる位になりました。それまで、いろいろなドリルも試しましたが、理解できた物はありませんでした。評論より、子供の反応が正解だと思います。遅まきながら、もっと先生の教材を活用させていただければと、登録することにいたしました。 …………………………………………………………………………………………… ただし、計算に慣れてくると、自然に簡単な計算は暗算でできてしまいます。しかし、これはあくまで副産物で、目標とすべきものではないのです。この見極めが教師の力量の差なのです。「できるからさせる」は「どこで止めるのがもっとも効果的なのか(弊害がないのか)を見極めることができないから、習熟という名の下にさせているだけ」ということです。 かつて(昭和初期まで)は「割算九九」も暗記していましたが、今では聞いたこともない人の方が多いでしょう。筆算ができる現代人には不要だからです。まったく同じ事が多くの時間を割いている今の暗算練習にも当てはまります。それなのに、まったく気ついていないのは明らかに子供たちの負担を軽く考えているからであり、工夫が足りないと言えます。小学校の先生はこの「割り算九九」がなくなった理由をよく考えるべきです。 ※「割り算九九」は「割算書(1622年・毛利重能)「塵劫記(1627年・吉田光由)」に記述があります。 …………………………………………………………………………………………… ● 利用者の声2●〜低学年での筆算導入〜 三角計算で一桁の計算をさせるのはいかがかとメールしましたが、先生のお話のとおり筆算で指導してみたところ,とてもわかりやすかったようで,今まで悩んでたのは何だったかと思うほどでした。ありがとうございました。筆算で指導するときには百だまそろばんや,お金を補助に使いました。文章問題もネーミングが楽しいらしく好評です。 また,文章問題だと,まだ出来ないと敬遠してしまいそうな計算も子供が自然に自分に合った力で解答していくので良いなあと感じました。問題は学年よりひとつしたのから始めましたが,図を書き始めるにはちょうど良いようです。 今までも考えるように考えるようにと指導してきましたが,私自身精神的に楽になりました。楽しんでます。 |