総索引<教育コラム01-02-03-04-05-06-07-08-09-10-11-12
<緊急:小6同級生殺害事件>→■■

■「百ます計算」の大誤算
「百ます計算」自体を非難するつもりは毛頭ありません。私も使っていました。ですが、十数年前に止めたのです。それは「考えられない頭を作ってしまう」という副作用が余りにも大きかったからです。当然、副作用は「百ます計算」が本来意図するところではありませんが、残念なことに現実的には用法用量を守って本来の目的通りに使われていることが少ないので本来の目的よりも副作用の方が拡大しています。家庭や学校に入り込んだことで副作用の被害は爆発的に広がる様相を見せています。
 医療の現場では痛みを和らげるために麻薬を使うことがあります。ペインコントロールと呼ばれていますが、用法を守れば優れた効果があります。ところが乱用すると直ぐに麻薬中毒になってしまいます。従って、麻薬を使用するペインコントロールは麻薬の効果と同様に副作用も熟知している専門医のみが行うことができるのです。
 つまり、麻薬を使ったペインコントロールは誰もが手軽に使えるものではないということです。
それなのに、あたかも誰もが手軽にペインコントロールができるかのように思わせてしまったら大変なことになってしまいます。しかも、この麻薬が何の許可も要らずに近所の薬局で手にはいるとしたらどうなるでしょう。結果は目に見えています。麻薬中毒の山です。患者の一生に関わる問題ですから「それは、売る方が悪いんじゃなくて使い方が間違っているんだ」「使い方は説明したから後は本人の問題だろ」「正しい使い方を知っている人が少ないんだから仕方ないですね」「痛みが和らげばいいじゃないか」「副作用の説明は必要ないよ」「100万人が使っているのだからいいんです」では許されないのです。解毒剤を持っている人は救われますが、持っていなければ決して治りません。気付いたときには中毒になっているのです。一度中毒になると自分で分かっていてもなかなか治すことはできません。さらに、中毒は自覚されないことも多いので特に注意が必要なのです。
 さらに、ペインコントロールに麻薬を使うのは、あくまでも代用にすぎません。効果が同等以上で副作用が無い麻薬に代わる新薬があれば、直ぐに切り換えるべきなのです。
●「百ます計算」のドリルには「意図的に」副作用の注意書きは一切書かれていません。それどころか、脳の活性化という学力に関係のない言葉が踊っています。
……………………………………………………………………………………………
<教育コラム009>〜「ます計算」を算数導入ツールとしてさえ使ってはいけない理由〜

「ます計算」に関する下記記述は、最も一般的な指導者の感想だと思います。ですが、残念なことに表面的なことにしか気付いていない幼稚な解釈だと思います。→赤は作者のコメント
http://www.kyo-sin.net/kyousi.htm(教心ネットより)
……………………………………………………………………………………………
1.
ます計算とは、加減乗除の四則演算をパート練習するためにあるのだ。パート練習をしたら計算の意味を考えなくなるのか? ならば音楽でパート練習をしたら合唱の意味がなくなるのか? 野球で守備練習をしたら試合ができなくなるのか? 全く見当はずれな意見である。
→この認識の甘さが命取りである。確かに野球で守備練習は誰もがします。ですが、その練習方法が先に繋がらない無駄の多い練習だとしたら、時間の無駄ということです。さらに、副作用があるものであれば即刻中止しなければいけないのです。「練習だから何でもいい」ではいつまでたっても試合に勝てないのです。
……………………………………………………………………………………………
2.
どうやら、現場の教師を含め世間で大きな誤解となっていることは、「ますをやれば算数ができるようになる」と勘違いしている点である。ます計算というのは単なる教材の一つにすぎない。言ってしまえば単なる紙切れ一枚である。その紙切れ一枚で算数ができるようになるのなら、教師はもちろん、学校も塾も家庭教師もいらないではないか。
→「単なる教材の一つ」という捉え方がいかに子供達にとって危険なことかを考えたことがないのでしょうが、子供達は順応性が高いので「単なる教材の一つ」であっても強い影響を受けてしまいます。使い方によっては致命傷を与えます。ですから、教材はすべからく厳選すべきなのです。「ます計算」は構造的に無駄を無理強いし思考を麻痺させます。使ってはいけないシロモノなのです。
……………………………………………………………………………………………
3.
考える力を育てる授業、しかし、そこには大きな落とし穴があるのだ。現場の教師がよかれと思ってやっている授業、考える力を育てる(と思っている)授業は、言ってしまえば上位3割程度の子どもしか理解できない授業である。残りの7割、特に算数のできない子にとってはほとんど収穫のない授業ばかりである。総じて現場の教師はそういう自己満足的な授業を歓迎する傾向がある。できる子、わかる子はそれで満足かもしれないが、多くのできない子にとってはそういう授業は単なる傍観者にほかならない。
→「分かる・理解できる」「考える」ということがどういうことかを知らない人が指導すると上記のようになりますし、上記のような批判をします。どちらも指導方法を知らない人の言葉です。応用力を付けられない無駄な作業を繰り返すことには何の意味もありません。貴重な子供達の時間を浪費させてはいけないのです。
→参考:
「分かる」と「考える」
→参考:「ます計算」を止めた理由と改善策
……………………………………………………………………………………………
(老人のボケ防止・予防にはカラオケ同様に多少の効果はありますが子供には無効です)